八条学園騒動記

「いいと思うわ」
「そうなのね」
「というかシェークスピアの悲劇は」
　これ自体がというのだ。
「名作だけれど」
「読んでも観ても」
「悲しくなるから」
「悲劇だけあって」
「悲劇の中でも特にね」
「それでなのね」
「もうね」
　それこそというのだ。
「観るなら喜劇よ」
「演じるにも」
「尚更ね」
「そういうことで」
「私もそっちを推すわ」
　ウィンザーの陽気な女房達をというのだ。
「そうしたいわ」
「じゃああんたも一票ね」
「ええ、というか」
　ここでコゼットは黒板を見た、見れば。
　演劇にはウィンザーの陽気な女房達しか書かれていない、コゼットはそれを見てアルフレドに尋ねた。
「それだけ？」
「他にいい作品はあるか」
　アルフレドはコゼットにこう返した。
「あれば言ってくれ」
「ううん、皆ある？」
「別に」
「これといって」
「それでいいんじゃないの？」
「オセローはちょっと、だし」
「リア王も」
「この作品もね」
　どうもと言うのだった。
「やっぱりね」
「駄目か」
「馬鹿過ぎるから」
　コゼットから見てもだった。
「本当にね」
「それでだな」
「そう、だからね」
「喜劇か」
「ええ、それで言うのよ」
「ウィンザーの陽気な女房達か」
「それとね」　
　コゼットはアルフレドにさらに話した。
「問題はね」
「何だ」
「いや、主人公だけれど」
「フォルスタッフか」
「太ってるわよね」
　コゼットは今度は登場人物の話をした。
「そうよね」
「あのキャラクターはそうだな」
「もう設定で決まってるわね」
「いつもかなり飲んでいてな」
「それで太ってるのよね」
「そうだな」
「けれどうちのクラスって」
　コゼットはクラスの中を見回して話した。
「太ってる人いないのよね」
「そうだな」
「そこがネックよね」
「そんなの何とでもなるよ」
　菅がここでコゼットに話した。
「太ってることは」
「ああ、メイクで」
「そう、お腹の方もね」
「服の中に色々入れれば」
「そうしたらね」
　それでというのだ。