八条学園騒動記
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第五百六十二話 劇の題目その一
劇の題目
二年S1組のホームルームは続いていた、喫茶店それもノーマルなものを行うことで出しものの一つは決まったが。
次は劇の話だった、それをすることも決まったが決まったのはそれだけで具体的な演目はまだであった。
それでだ、アルフレドが教壇から言った。
「劇と言っても色々だ」
「そうなのよね」
エイミーが彼のその言葉に応えた。
「お芝居をするにしても」
「そうだ、だからだ」
「具体的に何をするか」
「それが問題ね」
「ここで何も考えずに演目を出すとだ」
思いつきでというのだ。
「失敗する」
「そうよね」
「例えばだ」
ここでアルフレドはこの作品の名前を出した。
「ニーベルングの指輪等は駄目だ」
「ワーグナーの」
「あれは四日上演する」
「うちの歌劇部もやるけれど」
「二作目と三作目の間に一日ずつ空けるな」
「合わせて六日ね」
「そんな演目出来るか」
「無理ね、歌なしでも」
それでもとだ、エイミーも言い切った。
「滅茶苦茶長いから」
「脚本自体がな」
「歌と音楽あったら十五時間ね」
「これは論外にしてもだ」
流石にというのだ。
「演劇で行うにしてもな」
「無理があるわね」
「絶対にな」
「そこが問題ね」
「だったらな」
ここで言ったのはダンだった。
「童話やシェークスピアか」
「ああ、そういうのね」
ビアンカがダンに応えた。
「定番だけれど」
「いいな」
「上演しやすいわね」
「ハムレット等な」
「そうそう、ああした作品はね」
ビアンカはダンのその言葉に同意して頷いた。
「上演しやすいわね」
「元々劇の作品だしな」
「そうよね」
「俺はこれでいいと思う」
「確かにね」
「ちなみに俺が推す作品はオセローだ」
「シェークスピアね」
「この作品がいいと思う」
こう言うのだった。
「やるとすればな」
「オセローっていうと」
「あの黒人の将軍の話だ」
「悲劇ね」
ビアンカはそのオセローについて述べた。
「シェークスピアの作品の中で」
「駄目か」
「ううん、名作だけれど」
「それでもか」
「悲劇は評価が分かれない?」
観る方のそれがというのだ。
「どうしても」
「それはあるな」
「特にオセローはね」
この作品はというのだ。
「好き嫌い分かれるでしょ」
「そうした作品か」
「あまりにも悲惨で陰惨な作品だから」
「オセローは馬鹿だろ」
洪童が嫌そうな顔で言ってきた。
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