八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百六十八話 武力と暴力その三
「江戸時代の大庄屋からはじまって」
「大舘を拠点として」
「そうさ、農業も商業も林業もな」
「あと大舘だと」
「鉱工業もだよ、港も押さえていてな」
今度はそちらの話もしてきた。
「貿易とか漁業にしても」
「海もなんだ」
「もっと言えば川、温泉もそこからの宿屋とかも押さえていてな」
「滅茶苦茶力持ってるんだね」
「それでヤクザ屋さんも警察もなんだよ」
「逆らえなくなったんだ」
「お役所も、勿論な」
「政治家の人達も」
「この秋田県だとな」
どうしてもというのだ。
「そうなったんだよ」
「凄い歴史だね」
「よくも悪くもな、戦後の財閥解体令もあったがな」
「八条家もやられたね」
「ああ、それで再結集っていうかな」
「立て直しにだね」
「時間かかったんだよ」
八条家にはこうした歴史も存在しているのだ、戦後の財閥解体とそこからの立ち直りは苦難の歴史だった。
「全く、財閥が戦争起こすとかな」
「違うけれどね」
「財閥って資本家だろ」
「経営者だよね」
「経営者が戦争するか」
親父は鼻で笑って言い切った。
「むしろな」
「戦争起こさなくてね」
「金儲けしたんだよ」
「そうだよね」
「むしろ戦争したいのはな」
誰かというと。
「共産主義者だよ」
「そっちの人達だよね」
「革命だ何だのって言ってな」
「戦争起こさせることもするね」
「内戦起こさせることもするさ」
謀略まで使ってだ。
「そんなのソ連みたらわかるだろ」
「スターリンだね」
「ああ、あとナチスもな」
親父はこの組織の話もしてきた。
「連中は資本主義じゃないからな」
「何か資本主義の極端系とか言う人いるね」
「民族主義とかのな、あれは民族主義で戦争やってないからな」
「それとは別の犯罪行為だね」
「ナチスの民族主義もっと言えば人種主義のそれはな」
「それでナチスは」
「党名よく見ろ」
親父は僕にナチスのそれから言ってきた。
「一目瞭然だろ」
「ドイツ国家社会主義労働者党だね」
「まんま社会主義だろ」
「国家って付くから国家が強力に指導する」
「それで実際の政策もな」
肝心のこれもだったのだ。
「労働時間の制限とか福祉の充実、統制経済とかな」
「完全に社会主義だね」
「そうだよ、完全に資本主義じゃないからな」
ここが重要だ、あと昔の日本の歴史学者とかはナチスを資本家や軍が支持したというがそもそも当時ドイツ経済は崩壊していたし軍は十万まで減らされプロイセン以来の強力な軍隊も存在していなかった。
「連中も革命って言ってたろ」
「それじゃあ」
「社会主義と共産主義の違いは色々細かいが」
それでもというのだ。
「ナチスとソ連は言うなら極左でな」
「どっちも資本主義じゃないから」
「戦争やったんだよ」
「お金儲けとは別の考えだから」
「財閥、経営者はよし悪しにつけお金儲けだよ」
これが第一だ。
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