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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百六十八話 武力と暴力その二

「そこに相手の隙が出来る」
「まして相手はだね」
「俺達が今日来るなんてな」
「思いもしてないね」
「そこに仕掛けるんだ、あとな」
「あと?」
「相手はこう思っている」 
 親父は僕に会心の笑みで語った。
「母さんは自分達しかわからない場所の奥深くに入れた」
「それで監視も付けてだね」
「外にも出してない、だったらな」
「お袋がそこにいるのなんてだね」
「自分達以外にはな」
 それこそと言うのだ。
「知らないと思ってるさ」
「確信しているんだね」
「そうな、家の奴や使用人にはな」
「口止めしてるね」
「ヤクザ屋さんのやり方でな」
「っていうと命への脅しまで入れた」
「ああ、自分自身どころかな」
 それどころかというのだ。
「家族の命さえもな」
「その辺り本当にヤクザ屋さんだね」
「だからそっちにも関わりの強い相手なんだよ」
「それも使う方だね」
「手勢にな」
 自分達がそうである以上だ、それだけ力のある家というのもわかる。
「相手の家長はヤクザ屋さんの親分でも逆らえないんだ」
「そこまでの人だから」
「だからな」
 それだけにというのだ。
「やばいぜ」
「そうなんだね」
「それで確かに中々情報が出ていなかったんだよ」
「成程ね」
「ああ、けれどな」
「それでもだね」
「言うだろ壁に耳ありでな」
「障子に目ありだね」
「母さんのことは家に出入りする人には絶対に秘密だったけれどな」
 それでもというのだ。
「やっぱり秋田でも力のある家だとな」
「人の出入りも多いね」
「ああ、だからな」 
 それでというのだ。
「母さんの姿もな」
「見られていて」
「それで秋田にも八条グループの企業が活動してるんだよ」
「お袋の実家文句言うよね」
「陰に陽に脅しや圧力かけて露骨な嫌がらせや暴力だってしてくるさ」
「ああ、やっぱり」
「だから秋田で八条家の進出は限られているけれどな」
 ここで親父はこうも話した。
「俺が秋田に行く前からな」
「そうした状況だったんだ」
「秋田市の辺りはいいんだ」
「その辺りはだね」
「ああ、けれどな」
「秋田っていっても広いね」
「八条家は戦前から秋田には中々進出出来なかったんだ」
「そうした歴史があったんだね」
「それは秋田の地元の人との折り合いにずっと失敗してきてな」
「お袋の実家ともだね」
「母さんの実家は大舘だよ」
 秋田県のここにあるというのだ。
「俺達が今いるのもな」
「その大舘なんだ」
「そうさ、トラックはな」
 それはというと。
「秋田市から送ってもらったんだよ」
「八条グループの影響が及ぶ」
「八条グループは新潟から入って秋田市までは何とか進出出来てるんだよ」
「けれどそこからは」
「特に秋田市から北の一帯は維新から母さんの実家が地方財閥としてあってな」
 ここでお袋の話の本格的な話になった。 
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