八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百六十八話 武力と暴力その一
第二百六十八話 武力と暴力
ヘリコプターは着陸するとすぐにその場に待機してあったトラック達に武器を詰め込んだ、そしてだった。
僕達はそのトラックに乗り込んだ、そうするとトラックは吹雪の中を駆けだしたがトラックの外の真っ白な世界を見てだった。
親父は僕にこう言った。
「好都合だな」
「雪が降るからこそなんだ」
「ああ、人の視界を遮って心もな」
「遮るんだ」
「吹雪にばかり目がいってな」
それでというのだ。
「肝心の俺達にはな」
「気が向かないんだ」
「元々俺達が来るとか気付いてない筈だ」
「その時点で完全な奇襲だけれど」
「そこに加えて吹雪だ」
これがというのだ。
「もう最高の隠れ蓑になってくれている」
「それはいいことだね」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「この事態はな」
「いいことなんだね」
「ああ、俺は今日仕掛けるって決めたのはな」
「いきなりだったけれど」
「この吹雪もだよ」
まさにというのだ。
「決めた要因だったんだよ」
「気候のこともだね」
「ああ、だからな」
「今日はだね」
「この吹雪の中進むな」
「そうするんだね」
「ここは雪国さ」
秋田は言うまでもなくというのだ。
「だから実は雪は向こうの方が慣れてるさ」
「そうだよね、そのことは」
「絶対にな、けれどな」
「それでもだよね」
「慣れていてもな」
「吹雪になると」
「どうしてもそっちに注意がいくさ、ここの雪は凄くてな」
今降っているだけでもわかる、もう一面銀世界になっている位だ。
「家の二階までとかな」
「本当に積もるんだよね」
「そうさ、そしてその雪にな」
「秋田の人達は地元だから」
「それこそ生まれて来た頃か代々な」
ずっと秋田に住んでいる人も多いことからの言葉なのがわかった。
「ここにいるんだ、だからな」
「地の利はあるってことだね」
「雪についてもな、しかしな」
「それでもだね」
「その雪にな」
まさにというのだ。
「大雪ってやつを知ってるだけにな」
「そっちに神経が集中していて」
「それでな」
「僕達が傍まで来ても」
「気付かないな」
「雪が助けてくれるんだね」
「雪は目だけじゃないんだ」
親父は僕に話してくれた。
「妨げるのはな」
「っていうと」
「他の感覚も妨げてしまうんだよ」
「ああ、吹雪とかだと音で」
「匂いだってな」
「ああ、雪のだね」
「雪自体に匂いはなくてもな」
特にそれはないと僕も思う、水の匂いと雪の匂いはそれが腐ったりでもしていない限り表現に非常に難しい。
「匂い自体をな」
「消してくれるね、確かに」
「そしてあまりにも多くの雪は寒さでな」
「触覚も麻痺させて」
「思考もそっちに向けてくれるんだ」
それすらもというのだ。
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