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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百六十七話 秋田へその十二

「それはな」
「まさかだね」
「あくまで秋田の家だからな」
「秋田の外には影響力が及ばないんだ」
「隣の青森とか岩手とか新潟には及ぶかも知れないけれどな」
「それでも秋田がメインだね」
「ヤクザ屋さんも自分達のシマの外ではどうにも出来ないだろ」
 そこはあくまで他の組のものだ、そのシマの取り合いはしても自分達の勢力圏じゃないとヤクザ屋さんも無力だ。
「企業や官公庁だと余計にそうだろ」
「自分達の決められた範囲内じゃないとね」
「何も出来ないからな」
「そうだよね、それでなんだ」
「その家はあくまで秋田の家でな」
「他の県にだね」
「隣でも及ぶかも知れない、位だったんだ」
 多少程度だったというのだ、親父の考えでは。
「東北の話だぞ、しかも」
「関西にはだね」
「来てもな、神戸はな」
「八条家のお膝元だし」
「警察も相手の力の及ばない兵庫県警でな」
「八条家のガードの人達もいるし」
「俺が例え家に家族とだけ住んでいてもガードの人達は街中にいるからな」
 それで僕達を護ってくれているのだ、この辺り八条家のセキュリティは万全だ。流石は世界屈指の企業グループの経営家ということか。
「俺は安心しきってたさ」
「そこをだね」
「相手も思い切ったことをやってくれたさ」
 敵の本拠地にわざわざ乗り込んで人を攫う様なことをだ。
「俺が思っていたより遥かにとんでもない連中だった」
「そうだったんだね」
「お前には一切話してなかったけれどな」
「まあお袋の実家のことは聞いたことがあるよ」
 秋田の地方財閥であり今も秋田では絶大な力があるしかもお世辞にもいいお家ではないということをだ。
「けれどそんなお家なんだ」
「ああ、時が来ればこのこともな」
「話そうと思ってたんだ」
「そしてその時がな」
「今なんだね」
「そういうことだよ、じゃあな」
「うん、今からだね」
「勝負してくるな、そしてな」
 僕にこうも言ってきた。
「お前はこれからのことをよく見てくれ」
「それが僕のやるべきことだね」
「そうだよ、じゃあな」
「うん、そのことをやらせてもらうね」
「それでこれからのことに活かしていけよ」
 人生のことにとだ、親父は僕に言ってきた。そうしてここでヘリコプタ―は遂に着陸した。いよいよはじまった。


第二百六十七話   完


                   2020・1・8 
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