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八条学園騒動記

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第五百六十一話 ホームルームにおいてその五

「だからね」
「それでか」
「そう、それでね」
「そう言うか」
「うん、けれど実際パンケーキって何処の喫茶店でもあるよね」
「それはな」
 実際にとだ、マチアも答えた。
「喫茶店のメニューの定番の一つだしな」
「そうだよね」
「俺も好きだ」
「そうそう、メイプルシロップをたっぷりかけて」
 セドリックは言いつつカナダ人のトムを見た。
「それが美味しいんだよね」
「あの、確かに我が国今もメイプルシロップ作ってるし旗もそれだけれど」
 そのトムがセドリックに言う。
「それだけじゃないから」
「それはわかってるけれど」
「というか我が国ってそれとウィンタースポーツと自然と不思議な生きもの以外で注目されないのはね」
「それだけあったら充分じゃないの?」
 レミはそのトムに突っ込みを入れた。
「四つもあったら」
「他には?」
「不思議な生きものとか?」
「それ僕他に言ったし。産業とかは」
「何かあるでしょ」
 これがレミの返事だった。
「だからやっていってるでしょ」
「いや、だからカナダの有名な産業は」
「だから何かあるでしょ」
 レミはまたこう答えた。
「やっぱり」
「それ返答じゃないよね」
「いや。そう言われても」
 レミはトムにどうかという顔で返した。
「ちょっとね」
「自動車とか造船とか鉱業とか酪農とか漁業は」
「そういうのあるでしょ」
「全部あって連合でどれも上位にあるよ」
「そうだったの」
「これでも連合の大国の一国なんだけれど」
 このこともだ、トムは言った。
「何で目立たないかな」
「人口とか?」
「そうだよね」
 レミだけでなくマルコも言った。
「カナダって人口少ないよね」
「そういえばそうよね」
「百五十億?」
「それ位よね」
「それで文化とか地味?」
「音楽とか芸術とか」
「その地味さのせいで」
 トムはまさにそこだと言った。
「我が国って連合の中で目立たないんだよね、どうしても」
「それでメイプルシロップを言われると」
「それは嬉しいけれど」
 こうレミに話した。
「その後が続かないよね」
「そうだっていうのね」
「野球も強いんだよ」
「えっ、そうだったの」
「そこでそうだったのってなるよね」
 まさにその言葉を指摘した。
「我が国って」
「いや、我が国も野球してるけれど」
 レミは祖国ブラジルの話をした、この時代ブラジルはサッカーだけでなくバレーもバスケもラグビーも野球もかなり強く球技大国とさえ言われているのだ。
「カナダのことは」
「時々対戦してるよ、国際大会で」
「御免、記憶に残ってないわ」
「そこだよ、何でいつもこうなのか」 
 カナダはというのだ。
「僕は悲しいよ」
「別に目立たなくてもいいでしょ」
 ルビーはこうトムに言った。 
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