八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百六十六話 秋田へその十三
「実際に」
「そうだろ、俺は百歳まで生きてもな」
「次にどうなるかは」
「本当にな」
このことはというのだ。
「わからないものさ」
「そうなんだね」
「ああ、ただ明日はな」
「もう決まってるね」
「どんな神様が変えようとしてもな」
それでもというのだ。
「俺はな」
「秋田に行くんだね」
「そうするな、実はな」
「実は?」
「今空港に向かってるんだよ」
「あっ、明日の朝六時に日本なら」
そこに着くならだ、もうだ。
「そうだね」
「実は総帥さんがジェット機用意してくれたんだよ」
「自家用機みたいな感じで」
「そうさ、こっちじゃ大金持ち限定でもな」
それでもというのだ。
「自家用のジェット機持ってる人いるからな」
「カラヤンとかね」
ヘルバルト=フォン=カラヤンだ、二十世紀を代表するクラシックの指揮者で多くの名盤も残している。
「あの人もそうだったね」
「あの人自分で操縦していたからな」
「そうだったね」
「俺は出来ないからな」
「じゃあ操縦する人も」
「用意してもらったんだよ」
「総帥さんは流石だね」
ここまで聞いて僕は心から思った。
「そこまで用意してくれるなんて」
「それに組織力だな」
「ああ、八条グループの」
「個人の能力も大事だぜ」
「けれどだね」
「組織も大事なんだよ」
こちらの力というのだ。
「お前はもうわかってるみたいだな」
「やっぱりね、数と設備があって」
「それがまとまってるとな」
それならだ。
「物凄く強いだろ」
「うん、確かにね」
「それでなんだよ」
「今回もだね」
「ああ、八条グループの組織力もな」
「使ってだね」
「ここまで用意してもらえたんだよ」
こう僕に話してくれた。
「だからな、今回はな」
「親父は八条グループの組織力を使うんだ」
「俺は個人主義者だから好きじゃないけれどな」
組織力、それを使うことはというのだ。
「それでも今回はな」
「使うんだね」
「ああ、そしてな」
「それでだね」
「俺は今回長年の宿題をやり遂げるからな」
「うん、じゃあね」
「明日行くぜ、じゃあな」
親父は笑顔で僕にお別れの言葉を告げた、そのお話が丁度終わったその時に扉がノックする音が聞こえてきて。
畑中さんの声で入って宜しいでしょうかと聞いてきた、僕がはいとすぐに答えるとだった。畑中さんが入ってきて。
僕に静かな声でこう言ってくれた。
「明日は四時半にです」
「起こしてくれますか」
「はい、もうお聞きになられたかも知れないですが」
「親父が秋田に行くんですね」
「もうお聞きになられましたか」
「今さっき」
「そうですか、ではです」
僕にあらためて言ってくれた。
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