八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百六十六話 秋田へその九
「そういうものなんだよ」
「現代医学は絶対じゃないね」
「だから不老不死についてもな」
「親父はそう言うんだね」
「今の時点ではだよ」
あくまでというのだ。
「ないって言うんだよ」
「そういうことだね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「あの人魔術や錬金術もやってるだろ」
「そうらしいね」
噂ではだ、僕もその噂は聞いている。
「どうやら」
「だからひょっとしたらな」
「あの人そっちのことでなんだ」
「仙術も知ってるらしいしな」
こちらのこともあってというのだ。
「それでだよ」
「あの人が二百歳、不老不死っていうのも」
「有り得るかもな、俺が大学生というか幼稚園児の頃からな」
「あの外見なんだね」
「畑中さんが子供の頃かららしいぞ」
「あの人でもなんだ」
「九十歳超えてる人でもな」
もう八十年は普通に昔だ、畑中さんの子供時代になると。
「あの人いたらしいんだよ」
「じゃあ本当に何歳か」
「戸籍もどうか」
「怪しいんだ」
「戸籍謄本でもないとわからないだろ」
「戸籍謄本って本人でも滅多に出せないよね」
「抄本でいいかってしつこく言われるからな」
戸籍のあるお役所に言ってもだ、市役所なり区役所に言っても本当に謄本は本人が言っても滅多に出してくれない。
「個人情報の細かいところまで書いてあるからな」
「だからだね」
「ああ、だからな」
「個人情報は本人もわからない」
「勿論役所の人もな」
保管している人達もだ。
「見られないからな」
「そんな代物だね」
「あの人何でも公には百歳か」
「百二十歳って聞いたよ」
「それでも滅茶苦茶な高齢だけれどな」
もう絶対に隠居している年齢だ、畑中さんもそう言われているけれどまだ現役であることも凄いことだ。
「ああしてな」
「大学で講義持ってだね」
「論文も書いてるんだよ」
「そうだよね」
「あの人のことは俺もよくわからないさ」
「謎の人だね」
「ああ、それで俺はな」
俺にあらためて言ってきた。
「百五十歳のところをな」
「百歳になんだ」
「五十年縮めてな」
「遊び続けるんだ」
「それで酒で死ぬんだよ」
死因にまで言及してきた。
「そうなるんだよ」
「百歳でお酒で」
「ああ、美味いもの飲んで食ってな」
そうしてというのだ。
「女の子達と遊んでな」
「そうしてなんだ」
「百歳で死ぬんだよ」
「普通太く短くって言ったらね」
僕は親父のその言葉自体に突っ込みを入れた。
「もうね」
「百歳どころかだよな」
「もっと短いよ」
「ちょっと欲張りか」
「僕も親父は長生きすると思うけれどね」
不思議にそう思える、親父が早死にするとは思えない。何だかんだで身体は頑健でしかもお酒も溺れる程じゃないからだ。
ページ上へ戻る