八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百六十五話 冬の嵐の前その八
「キムチはない筈だよ」
「秀吉さんが攻めて来るまでは」
「絶対にね、キムチも違ったよ」
「今みたいな味じゃないのね」
「唐辛子がないからね」
このことが絶対だからだ。
「そこは違うよ」
「今とは全然違うのね」
「日本のお料理も江戸時代とそれまでじゃ違うし」
「そうだったわね」
「お味噌やお醤油が一般化して」
こうした和食に欠かせない調味料がだ。
「それからね」
「そうなったから」
「そう、だからね」
それでだ。
「日本もその辺りは一緒だよ」
「今のお料理の形が出来たのは最近ね」
「大抵の国でそうみたいだし」
日本や韓国だけでなくだ。
「フランス料理なんてね」
「今みたいになるのは」
「もうノストラダムスの頃だね」
「その人なの」
「実は予言者じゃなくてお医者さんだったけれど」
今で言う美容コンサルタントみたいなことが本業だったみたいだ、自分は予言をしているとは思っていなかったみたいだ。
「この人の頃の王妃さんがイタリアから来て」
「確かサン=バルテルミーの虐殺の」
「カトリーヌ=ド=メディチでね」
かなり有名な人だ、虐殺のことでも。
「この人がイタリアから来て」
「イタリア料理を持ち込んで」
「トリュフとかカクテルとかアイスクリームとかね」
「それからよね」
「もうそれまでは」
この人が来るまでのフランスのお料理はだ。
「ただお肉を焼いただけとか」
「そんなのだったのね」
「だからね」
「フランス料理も」
「結構近いうちに今の形になってるよ」
江戸時代になるかならないかの頃だ。
「もうね」
「そういえばそのイタリアも」
詩織さんは今は福神漬けを食べている、日本のカレーにはこれかラッキョといった薬味はどうしても欠かせない。
「スパゲティは」
「結構以上に最近だから」
「そうだったわね」
「十九世紀の最初に食べられる様になって」
ナポリの方でだ。
「チーズをまぶして手で持って食べていたんだ」
「ソースもなかったのね」
「それが出来たのは後なんだ」
「カルボナーラは大戦中で」
「ナポリタンだって終戦直後だし」
「スパゲティも最近ね」
「カエサルは間違っても食べていないよ」
ローマの人でもだ。
「一応パスタはルネサンスの頃にはあったけれど」
「それでもよね」
「スパゲティはね」
パスタの代表と言っていいこちらはだ。
「そうだったんだ」
「そうなのね」
「まあスパゲティにチーズはね」
この組み合わせはだ。
「かなりいいよね」
「味がぐんと上がるわね」
「まぶしたらね」
もうそれでだ、大蒜やオリーブオイルと一緒に。
「そうなるね」
「ええ、けれど何か色々とね」
「色々と?」
「お料理って」
詩織さんは僕に話した、カレーの残りを食べつつ。僕のハヤシライスをさらに食べている。二人共残り僅かだ。
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