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夢幻水滸伝

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第百二十八話 大軍出陣その十五

「あれはな」
「あかんね」
「何があってもな」
「手を出したら」
「溺れる以前の問題や」
「あれは毒やね」
「毒も毒で」
 それこそとだ、芥川は綾乃に話した。
「己を滅ぼす」
「そうしたものやね」
「そやからな」
「あれは厳禁で」
「政としてもな」
「それがええね」
「これからもな、ただな」
 ここで芥川はこうも言った。
「末期の患者さんとかな」
「癌もそやね」
「そういう人にはな」
「鎮痛剤として必要やね」
「さもないとな」
「苦しいさかい」
「その場合は仕方ないけど」
 それでもというのだ。
「基本はな」
「あくまでやね」
「しゃあない時のもので」
「市場には絶対に出したらあかんね」
「ほんま覚醒剤まであるとかな」 
 中里は苦い顔で述べた。
「こっちの世界は色々あるわ」
「ええもんも悪いもんも」
「こっちの世界と一緒でな」
 中里は綾乃に答えた。
「ほんまにな」
「そやね、それで悪いもんは」
「何とかせんとあかん」
「それが政やね」
「何ていってもな」
「その通りやね、その鎮痛剤も」  
 綾乃は麻薬の話から戦に使うこちらの話もした。
「用意出来てるんやろ?」
「ああ、もうな」
 中里は今度は軍を預かる者として綾乃に話した。
「出来てるわ」
「そやねんな」
「そやからな」
「負傷兵のことも」
「大丈夫や、ただ南洋との戦でも使ったし」
 その鎮痛剤をというのだ。
「中国戦でも使うから」
「それでやね」
「中国戦の後は」
「その後はやね」
「日本で補給受けて」
「それでやね」
「次のアメリカ戦に挑もうな、というか」
 中里はここでこうも言った。
「ちょっと蓬莱急がせるか」
「それでやね」
「琉球に入ってな」  
 そのうえでというのだ。
「そこで補給受けようか」
「念には念を入れてやな」
「補給受けられるんなら」
 それならというのだ。
「受けとかんとな」
「戦にも勝てへんね」
「そや、それでや」
 そのうえでというのだ。
「補給はな」
「受けられたらやな」
「絶対に受けて」
「それでやね」
「戦に挑むか」
「ほなな」
 綾乃は芥河の言葉を受けて決断を下した、その決断はというと。
「これからな」
「速度速めてやな」
「そのうえで」
 まさにと言うのだった。
「補給受けに行こうな」
「琉球までな」
「そして補給受けて出来たら休養も取って」
「そのうえでな」
「中国との戦に挑もうか」
「それがええな」
 芥川も中里の提案と綾乃の決断に頷いた。
「ほな蓬莱の速度速めようか」
「そうしよな」
「蓬莱は移動要塞で一番速い」
 芥川は自分達が今乗っている蓬莱の話もした。
「その速度を活かしてな」
「そのうえでやね」
「琉球まで入ろうな」 
 こうしてだった、日本は予定より速く琉球に入ることにした。そしてそこで補給を受け英気を養い中国との戦に向かうのだった。


第百二十八話   完


                 2019・9・1 
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