夢幻水滸伝

「勝つ為やろ」
「それで使うな」
「そやから使う、しかしな」
「それでもやな」
「奇襲や策に溺れたら」
「それもあかんな」
「何でも溺れたらあかん」
　こうなっても問題だというのだ。
「水練だけやないわ」
「水に溺れるのも奇襲に溺れるのも同じか」
「策士策に溺れるや」
　芥川はこの言葉も出した。
「要するにな」
「その言葉か」
「そや、超一流は策を楽しむもんやが」
「二流は溺れるか」
「それであかん様になる」
　この場合もというのだ。
「結果としてな」
「何かと難しいもんやな」
「それが戦で世の中やろ」
「確かにな」
「そういうことや、まあ溺れるというかはじめる時点であかんのは」
　芥川はこうも言った、これまで以上に真剣なものになっていてそのうえで中里だけでなく綾乃にも話した。
「麻薬や」
「それとシンナーやね」
　綾乃が日本の棟梁、政を司る第一の者として応えた。
「そうしたもんは」
「もう手を出した時点でな」
「あかん様になるね」
「覚醒剤なんかやったら」
　この世界でも存在していて中毒者も存在している。
「終わりや」
「人として」
「もう身体も心もボロボロになるわ」
「文字通りの廃人やね」
「それになるわ」
「こっちの世界やとヒロポンともいうけど」　
　大戦直後はこう呼んでいて煙草屋でも普通に売っていた。
「太宰君が即座にご禁制にして」
「厳しく取り締まってるな」
「さもないと」
「ほんまにえらいことになるからな」
「中毒者も犯罪起こすし」
「どの勢力でもな」
　それこそというのだ。
「禁じられてるやろ」
「そうなってるね」
「あんなのやったら」
「廃人になるさかい」
「絶対にあかんしな」
「ご禁制になってて」
　そしてというのだ。
「処罰もされる」
「それも厳しく」
「その辺りも太宰はしっかりしてる」
　芥川は太宰にここでも感謝した。
「民の害になることも排除してく」
「それも政やしね」
「あんなん認めたらな」
「もうそれだけであかん様になるね」
「シャーロック＝ホームズでも出てるけどな」
　ホームズ自身がコカイン中毒者である、その為このことを前面に押し出したホームズの作品も存在している。