八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百六十三話 一番凄い人その四
「あの詩は弟さんがお家の跡継ぎだからね」
「死なないで帰って来いね」
「その気持ちを詠ったから」
「戦争自体は支持していたのね」
「そうだったしね」
「よくあの戦争に反対していたっていうけれど」
「実際はもうしないと」
それこそだった、当時の日本の置かれた状況では。
「日本がロシアに飲み込まれてもね」
「おかしくなかったわね」
「もう朝鮮半島殆ど飲み込まれてたから」
王様自身がロシアにべったりになってだ。
「戦争をしてロシアを退かせないとね」
「次は日本だったのよね」
「そんな状況だったから」
それだけにだ。
「日本もね」
「戦争しないとね」
「いけなかったんだ」
「そんな状況だったわね」
「だからもうね」
「当時の人達は」
「幸徳秋水みたいな人もいるけれど」
戦後教育では真に正しい考えを持っていた人の様に言われているけれど実際のところどうかと疑問に思う時もある。
「それでもね」
「殆どの人は」
「トップの人達は迷っていたらしいけれど」
「戦争をするべきかどうか」
「勝てる筈ないと思ってね」
強大なロシア相手にだ。
「それでね」
「戦争したくなかったのね」
「明治帝もそうお考えだったし」
勝てない、負ければ日本はないと思われてだ。
「元老の山縣有朋さんもね」
「あの人もなのね」
「本当にギリギリまでね」
宣戦布告のその瞬間までだったという。
「迷っていたらしいよ」
「やっぱり勝てないから」
「そう思ってね」
「それでなのね」
「迷っていたんだ」
「出来ることなら」
「うん、避けたいってね」
その様にだ。
「思っていたんだ」
「そうだったのね」
「けれど」
それでもだった。
「結局ね」
「せざるを得なかったのね」
「そして決断して」
そのうえでだったのだ。
「戦いをね」
「選んだのよね」
「そんな戦争だったから」
それでだ。
「皆もうね」
「危ないと思っていても」
「戦争をせざるを得ない」
「そう思っていたのね」
「だってね」
当時の現実としてだ。
「ロシアが満州から半島まで来ていたから」
「そうした状況だと」
「維新の頃からすぐに日本最大の脅威と認識されていたし」
他の国はともかくロシアは絶対に日本に来る、日本側もそうはっきりと認識して国防に務めていたのだ。
「だからね」
「若し戦争しなかったら」
「日本はなかったよ」
「それで北海道も」
「ロシアになっていたかもね」
冗談抜きでだ。
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