夢幻水滸伝
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第百二十七話 破られた必勝その十四
「そうするんや」
「ではね」
「人は休むことも必要やしな」
「必要なら」
宮子はここで薬剤師として言った。
「強精薬を作るけれど」
「お薬をなの」
「作るけれど」
こう言うのだった。
「どうかしら」
「お願い出来るかしら」
千歳は少し考えてから宮子に答えた。
「それなら」
「ええ、それを飲めばね」
「疲れは取れるのね」
「ぐっすり寝られるし」
その薬を飲めばというのだ。
「休んでね」
「強精薬なのに」
「そう、飲めばすぐにぐっすり寝られて」
そうしてというのだ。
「元気も出るから」
「そうしたお薬なのね」
「これを普通に飲むと」
宮子は笑って千歳にさらに話した。
「起きた時が凄いけれど」
「どう凄いの?」
「もう三日三晩起きて」
そうしてというのだ。
「そうしたことをね」
「ああ、強精薬だから」
「そんな代物なのよ」
「そうなのね」
「だから疲れていない時に飲んだら」
その時はというのだ。
「もうね」
「そういうことね」
「そう、だから相当疲れてる人にしかお勧め出来ないの」
「三日三晩は凄いな」
房江の今現在の笑みは左の口元が引きつっていた、目元もそうなっている。
「馬以上やな」
「房江ちゃん飲んでみる?」
「相手おらんから」
いいとだ、房江は宮子に左手を横に振って答えた。
「そやから」
「いいのね」
「遠慮するわ」
実際にというのだ。
「それは」
「ではね」
「千歳ちゃんにな」
彼女にというのだ。
「そうしてな」
「わかったわ」
「今はゆっくり休んでもらって」
房江は千歳を優しい目で見つつ話した。
「そしてな」
「またね」
「戦に参加してもらうさかい」
「それまではなまら休ませてもらうわね」
千歳は北海道の方言も出した、そうして宮子から薬を貰って飲みもしたのだった。勝利を収めた日本はもう次の戦に心を向けだしていた。
第百二十七話 完
2019・8・24
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