夢幻水滸伝
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第百二十七話 破られた必勝その十二
「こっちの世界やとな」
「私等も今カレー食べてるし」
「戦場で結構楽にあったかいもん食べられてるし」
「そこはほんまにちゃうな」
「このこと有り難いな、ほなカレー食べて」
その温かいものをというのだ。
「それからな」
「ああ、次やな」
「その中国との戦やな」
「それになるで」
四人でこうした話をした、そうしてだった。
今はカレーを食べ続けた、兵達もカレーを食べて満腹になり戦の疲れだけでなく次の戦の英気も養っていた。
それはこの戦で台風を操った千歳も同じでカレーを食べて共にいる宮子や房江に話した。
「今回は疲れたわ」
「それはね」
宮子はカレーと一緒にあるゆで卵を食べつつ応えた。
「当然よね」
「千歳ちゃん台風操ってたさかいな」
房江は福神漬けを食べている、そのうえで千歳に応えた。
「それはな」
「ええ、それで台風だけれど」
千歳は自分が操る即ち制御していたそれの話もした。
「もう消えたのよね」
「そうよ、熱帯低気圧になって」
「完全になくなったわ」
二人で千歳の台風の問いについて答えた。
「そやからな」
「そちらの心配はしなくていいわ」
「そうよね、とにかくね」
「今回は大変だったわね」
「ほんまにな」
「ええ、けれど苦労の介があった」
千歳は笑みを浮かべてこうも言った。
「そうよね」
「台風で敵軍をあそこまで痛めつけたから」
千歳の今の言葉に房江はすぐに返した。
「それやからやん」
「勝てたのね」
「そやからな」
「苦労した介があったわね」
「綾乃さんも千歳ちゃんが今回の戦で第一の功って言うてるし」
「そこまでなのね」
「そやからな」
それでというのだ。
「もうやで」
「苦労したことは認められた」
「そやで、正直苦労して」
房江はカレーをスプーンで口の中に入れつつ話した。
「それへの見返りなかったら」
「そんな風だと」
宮子は房江に顔を向けてどうかと述べた。
「もうね」
「ブラック企業やとな」
「人は最後はいなくなるわね」
「そや、その点うち等はな」
自分達の勢力はというのだ。
「そういうのないさかいな」
「いいわね」
「もう人を使い捨てにしたり酷使してたら」
「最後はいなくなるわね」
「そこにおる人がおらん様になって」
そしてというのだ。
「来る人もな」
「いなくなるわね」
「そうなるのは自明の理や」
まさにというのだ。
「ブラックは結局最後は倒れる」
「そういうことね」
「それでや」
房江はさらに話した。
「うちの棟梁さんはわかってくれてるし」
「宰相の太宰さんも」
千歳は彼に言及した。
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