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八条学園騒動記

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第五百五十四話 美髪の秘密その十

「邪悪になってたりするわね」
「完全な悪ですか」
「吐き気を催す邪悪っていうけれど」
 こう呼ばれる存在はというのだ。
「もうね」
「それこそ」
「人間じゃなくなってるってことでしょうね」
「だからもうですか」
「完全な悪というか人間じゃない」
「そうなっていますか」
「餓鬼とか外道とか屑とか」
 その様にというのだ。
「呼ばれる存在にね」
「なっていますか」
「私達が今お話してるのははじまりは私の髪の毛のことだったわね」
「はい、とても奇麗なので」
「奇麗にする方法を聞いてくれたわね」
「そうでした」
「若しもよ」
 カトリはコーヒーを飲んでからティンに真剣な顔で話した。
「私もね」
「カトリさんもですか」
「そう、若し心がそのまま姿になったら」
「その時はですか」
「正直私はね」
 どうかとだ、ティンに話した。
「自分はそんなにいい人と思わないから」
「そうですか?」
「悪いところ多いから」
「だからって言われますか」
「ええ、髪の毛もね」
 ティンが奇麗と言うそれもというのだ。
「心が姿になったら」
「その時はですか」
「貴女が言う通りに奇麗じゃないわね」
「そうは思わないですって言うところでした」
 ここでティンは自分の言葉を止めて話した。
「けれど」
「言わなかったのね」
「その人じゃないとわからないですね」
 こうカトリに話した。
「それに私カトリさんと初対面ですし」
「初対面だとね」
「その人のことがわかるか」
「難しいわよね」
「少なくとも私は違います」
 ティンはというのだ。
「家族、ずっと暮らしている人でも」
「わからない部分があるわね」
「そうですから」
 だからだというのだ。
「どうしても」
「そうよね」
「はい、ですから」
「今の言葉は収めたのね」
「そうしました」
 こうティンに話した。
「実は」
「そうよね、私もね」
「ご家族については」
「ずっと気付かなかったことがあったわ」
「そうなんですか」
「お母さんが実は背中に毛があったとか」
 カトリは自分の母の話をここでした。
「実はね」
「背中にですか」
「うなじから続いて」
 それでというのだ。
「背中の入り口までね」
「髪の毛が生えているんですか」
「鬣みたいにね」
「あっ、馬の」
「そうなの、それでね」
 ここでカトリは少し苦笑いになってティンにこうも話した、その少しの苦笑いがいい間を取るものになっていた。 
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