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八条学園騒動記

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第五百五十四話 美髪の秘密その七

「余計に苦しいわね」
「尚更健康じゃないですね」
「もう健康とは全く無縁ね」
「それが餓鬼ですね」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「ああなるのね」
「そう思うと絶対になりたくないですね」
「そうよね」
「地獄の苦しみですから」
「地獄の方がましかしら」
 カトリは今心から思った、そのうえでの言葉だった。
「それだと」
「そうかも知れないですね」
「というか地獄にも餓鬼いたかしら」
 こうもだ、カトリは言った。
「どうだったかしら」
「地獄にいるのは亡者ですよね」
「そちらだったわね」
「地獄の亡者も大変ですが」 
 それでもというのだ。
「餓鬼はもう」
「もっとな感じがするわね」
「そうですよね」
「餓鬼にはなりたくないわね」
「髪の毛のことを抜いても」
 ティンはここでもこの話をした。
「どうしてもですね」
「ええ、実は私はね」
「カトリさんは?」
「歯が気になってるの」
 こちらのことがというのだ。
「どうしてもね」
「歯ですか」
「歯が奇麗で」
 それでとだ、カトリはティンにコーヒーを飲みつつ話した。
「それで口臭もしない」
「そうした風にですか」
「いつもしたいと思ってるの」
「歯ですか」
「口臭もいつも気になってるの」
「そちらですか」
「ええ、貴女は髪の毛みたいだけれど」
 カトリの場合はというのだ。
「そこが気になってるの」
「そうですか」
「もっとね」
 カトリはさらに話した。
「白くなりたいって」
「そう思われてますか」
「そうなの、口臭も気になるし」
 こちらのこともというのだ。
「いつも気をつけてるの」
「そうですか」
「磨いていても」
「別に私は」
 ティンは今はそのカトリと正対している、それで口臭も感じると思ってそのうえで彼女に言うのだった。
「思わないですが」
「そうなの?」
「はい、別に」
「だといいけれど」
「やっぱりいつも歯を磨いていますね」
「そうしているわ」
「そうしていますと」
 歯磨きをしっかりしていると、というのだ。
「口臭はしないです、それに」
「それに?」
「歯も奇麗ですよ」
 見れば見事な象牙色だ、ティンはそこもいいと思った。
「宝石みたいですよ」
「それは大袈裟でしょ」
「大袈裟じゃないです」
 そこはとだ、ティンはカトリに言葉を返した。
「本当に」
「だといいけれどね、それとね」
 ここでカトリはティンに言った、その言うことはというと。 
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