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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百六十二話 夜の屋上でその四

「そうしてるの」
「お酒飲んでかな」
「かなり飲んだから。クラス熱気があったし」
「熱くてなんだ」
「そのこともあってね、私熱いのは苦手だから」
 それでというのだ。
「だからなの」
「ああ、香織さん秋田生まれで」
「暑いのはどうもね」
「苦手だったね」
「そうなのよ」
「美沙さんもそう言ってるしね」
 逆に沖縄生まれの日菜子さんやブラジル生まれのニキータさん、タイ生まれのラブポーンさん達は暑いのは平気だ。
「寒いところにいると」
「寒さには慣れてるけれど」
 それでもというのだ。
「暑いのはね」
「苦手だね」
「だからね」 
 それでというのだ。
「今は涼んでるの」
「そうだったんだね」
「それでね」
「それで?」
「かなり飲んだし」
「暑いのはそのせいもあるね」
「そうよね、日本酒かなり飲んだから」 
 香織さんはお酒は何でもだけれど日本酒が特に好きみたいだ、それで今日もかなり飲んだというのだ。
「それでね」
「涼んでるんだね」
「そうなの」
「そうだったんだ、しかし」
 ここで僕は風を受けた、そして空気も感じて香織さんに話した。
「ここは寒いね」
「涼しいどころか」
「そう、本当にね」
「私は涼しい感じよ」
「香織さんとしてはそうなんだ」
「ええ、私としてはね」
「やっぱり秋田は寒いんだね」
 このことをだ、僕は今感じた。
「そうなんだね」
「そうなの、今の季節なんか冬よ」
「もう冬なんだ」
「神戸だとそれ位の寒さよ」
「神戸も冬寒いよ」
 北にある山、六甲から風がどんどん吹いてきてだ。
「相当に冷えるよ」
「それでもね」
「秋田よりはなんだ」
「今の季節でもね」
 秋、そろそろ晩秋という季節でもというのだ。
「秋田よりはましよ、それに雪が」
「ああ、雪がね」
「深いから」
 それでというのだ。
「そのことあるから」
「そうだったね、親父も秋田で働いていた時あったし」
 その時も破天荒な女好きぶりを発揮していた、そこにお酒もある。親父の酒好きと女好きと遊び好きは折り紙付きだ。そんな折り紙付きはいらなくてもだ。
「さこでお袋にも会って」
「結婚されたのね」
「それで僕が生まれたんだ」
「そうなのね」
「秋田はお袋の故郷だけれど」
 ここで僕はこうも言った。
「僕は言ったことないんだ」
「どうしてなの?」
 お袋の故郷つまり実家がある場所なのにとだ、香織さんは僕に聞いてきた。
「それは」
「うん、親父とお袋の実家仲が悪くてね」
「そうなの?」
「お袋の実家何でも秋田の実力者でね」
 聞く限りではだ。 
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