八条学園騒動記
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第五百五十四話 美髪の秘密その五
「間違っても食べないことはね」
「駄目ですね」
「拒食症とか」
この病になると、というのだ。
「真っ先に髪の毛にくるわよ」
「髪の毛が荒れますか」
「抜け毛も酷くなるし」
「悪いんですね」
「そう、最悪餓鬼みたいにね」
「ああ、餓鬼って髪の毛荒れてますね」
仏教のそれを思い出してだ、ティンも応えた。
「物凄く薄かったりしますね」
「そうよね」
「はい、ごっそりと抜けていて」
髪の毛がというのだ。
「乱れていて」
「どうしてかっていうと」
餓鬼がとだ、カトリはコーヒーを話した。
「食べていないからよ」
「だからですよね」
「餓鬼は食べてないでしょ」
「食べられないんですよね」
「色々な理由でね」
喉があまりにも細かったりしてだ、餓鬼はその為に常に餓えているのだ。しかも腹に多くの虫がいたり爆発が起こったりしていて常に苦しんでいるのだ。
「そうなっているわ」
「そうですよね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「餓鬼は痩せていてね」
「栄養を摂れていないですね」
「とにかく食べられていないから」
「あの身体で」
「髪の毛もね」
「ないんですね」
「ええ、ただね」
ここでカトリはこうも言った。
「連合じゃそうした人いないけれど」
「餓鬼みたいな人は」
「餓鬼ってお腹膨れてるわね」
「ですね、身体は痩せていて」
「あれっていつも餓えていて」
つまり慢性的な飢餓状態の中にあるのだ、それ故に餓えた鬼即ち餓鬼という名前になっているのだ。
「それでね」
「あのお腹ですか」
「深刻な栄養出張で」
「それでお腹が出るんですか」
「身体が痩せて腹筋が極端に弱まって」
そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「お腹が出てくるんですね」
「そうみたいよ」
「そう思うと可哀想ですよね、餓鬼って」
「いつもそこまで餓えているからね」
「そうですよね」
「まあ人間の時に浅ましいことばかりして」
仏教の教えではそうなっているのだ。
「それでね」
「餓鬼に生まれ変わったんですね」
「修羅や生きものからもなるけれど」
そして天界からもだ。
「地獄からもあるし」
「六道の何処からかですね」
「生まれ変わって餓鬼になるけれど」
「地獄よりも辛いですね」
「私もそう思うわ」
「常に餓えているとか、それに」
ティンはここでこうも話した。
「髪の毛も」
「抜けてね」
「随分酷いですよね」
「そうなるから」
だからだというのだ。
「今の貴女は特に思うわね」
「髪の毛のことからも」
描かれる餓鬼のそれを見てというのだ。
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