八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百六十一話 打ち上げの時にその十三
「随分可愛がられたそうだよ」
「そうだったんだ」
「明治帝は厳めしい感じを持っておられたそうだけれど」
お祖父様というよりは帝として接しておられたからみたいだ。
「皇后陛下には懐かれていたそうなんだ」
「あれっ、明治皇后って」
「うん、昭和帝とは血縁関係じゃないよ」
「そうだったね」
「明治帝はまだ側室を持っておられたから」
大正帝から一夫一妻になっている。
「その方のお一人との間のお子が大正帝だから」
「だからだったね」
「昭和帝と明治皇后はね」
「直接の血縁関係はなかったね」
「けれどおばば様だったかな」
つまりお祖母様だ。
「そうお呼びしてね」
「親しくされていたんだね」
「明治皇后も優しく接せられていたそうだし」
「そうだったんだね」
「むしろ直接血縁関係にある明治帝の方がね」
「さっき厳めしいって言ってたね」
「そう感じられていたみたいだよ」
昭和帝について書かれた本を読んでいるとだ。
「どうもね」
「明治帝って確かに厳めしいイメージあるね」
「結構人間的なエピソードもあるけれど」
言われてみればだ。
「肖像画でもね」
「厳めしい感じがするね」
「物凄く質素な方で」
常に軍服を着ておられたけれど軍服の裏が破れると縫ってまた着られ暖房器具は火鉢一つしか用いられなかったという。
「あくまでご公務を優先される」
「そうした方だったね」
「だからね」
それでだ。
「どうしてもね」
「あの方については」
「僕も厳めしいイメージがあるね」
こうアタクルク君に話した。
「あえて日本の帝になろうとされた」
「そうした方だね」
「威厳を維持されようとした」
「それで厳めしいんだ」
「昭和帝の威厳とはね」
この方の威厳もかなりだったと思うけれどだ。
「そこがね」
「違うんだね」
「そう思うよ」
こうアタクルク君に話した。
「僕は」
「そうなんだね」
「お父上の孝明帝とはまた違うね」
「幕末の時の帝だね」
「明治帝はね、凄く気を張っていた方だったと思うよ」
本当に僕が思う限りだ。
「幕末明治って大変な時代だったし」
「何時外国に攻められるかわからなかったね」
「実際ロシアと国を賭けた戦争したしね」
本当に薄氷の勝利だった、陸軍と海軍だけでなく外交も何もかもを全て使って戦った。そうした戦争だった。
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