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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百六十一話 打ち上げの時にその十四

「国が一変してどんどん変わって発展して」
「そのことも大変だったね」
「そうした時代だったから」
「明治帝もだね」
「必死にね」
 あの方としてもだ。
「気を張っておられたんじゃないかな」
「複雑な事情があったんだね」
「そうだね、維新の時も」
 この時もだ。
「本当にね」
「大変な時代だったからこそ」
「国を創り変えたんだから」
 まさに革命だった。
「国の元首であられるなら」
「重責も凄いし」
「そうであられたと思うよ」
「成程ね」
「そうした時代だったから」
 激動の時代だったからだ。
「明治帝は厳めしかったんだよ」
「そうした君主であろうとされたんだね」
「きっとね、しかしご真影は」
 こちらのことについても思った。
「本当に少ししかないんだよね」
「写真がお嫌いだったから」
「西郷さんもね、だから西郷さんのお顔って」
 その実はだ。
「わかってないんだよね」
「それ西郷さんの特集やってたクラスでも書いてあったね」
「東京の銅像もね」
 あまりにも有名なこれもだ。
「実はね」
「似ていないそうだね」
「奥さんが銅像のお顔見て言ったんだ」
 弟さんである西郷従道さんをモデルにして造ったとのことだ。
「そうね」
「そうだったんだ」
「絵もあるけれど」
「そっちもなんだ」
「どうもね」
「そう言われてるんだ」
「だから西郷さんの顔はね」
 銅像や肖像画は有名だけれどだ。
「実際はどんなものだったかはね」
「わかっていないんだね」
「そうなんだ」
「成程ね、このことイスラムだとね」
「あっ、偶像崇拝否定してるからね」
「だから肖像画とか少ないし」
 とはいってもあるにはある、コーランに出て来る人を描いた絵も存在している。ただし多いとは言えない。
「銅像もね」
「ないよね」
「どっちも飾られること少ないから」
「偶像崇拝否定してるからね」
「ヨルダンの王様はそれで自分の像を撤去させたし」
 周りの人達がこれまでの業績を讃えて造ったけれどだ。
「どっちもないから」
「写真もあまり撮らなかったね」
「昔はね」
「だからだね」
「その頃の人の顔はわかりにくいよ」 
 西郷さんの時代、十九世紀後半の人達はというのだ。
「他の地域に比べてね」
「そうなってるんだね」
「今は流石に皆写真や撮影位はいいからね」
「ちゃんとわかるよね」
「誰がどんな顔かね」
「そうなってるんだね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「一つ思うことは」
 それはというと。
「西郷さんのお顔、詳しく知りたいね」
「そのことだね」
「折角写真があったんだからね」
「仕方ないね、写真嫌いだったから」
 僕も残念に思うけれどご本人が嫌いならどうしようもなかった。
「それじゃあね」
「そういうことだね」
「うん、だから僕達は西郷さんについては」
 この人のお顔についてはだ。
「奥さんが似てないって言った銅像や肖像画のお顔をね」
「それだって思うしかないんだね」
「結局はね」
「残念だね」
「そうだよね」
 アタクルク君にこうしたことを話した、そうしてそのうえでまた飲んだ。そうしているうちにお酒は随分と進んだ。


第二百六十一話   完


                     2019・11・23 
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