夢幻水滸伝

「そやからや、味方やとや」
「有り難くか」
「敵やとこうなる、そう思うとな」
「味方であって欲しいか」
「これからはな、ほな僕はこれで下がるわ」
　こう言ってスーンも離脱し日毬も軍勢同士の戦に加わった、そうしてそこでもその剣術の冴えを見せるのだった。
　南洋の星の者達はもう半数以上が敗れ残っている者は少しになっていた、日本側で敗れた星の者はいない。
　この状況について八房は美鈴に尋ねた。
「こっちが一方的に勝ってるな」
「一騎打ちでもたいな」
「軍勢同士でもそうだし」
「それは相手との相性も考えて向けたからよ」
「勝てる相手に一騎打ちを挑んだ」
「そうたい、しかも一騎打ちに強かモンをばい」
　美鈴はさらに話した。
「向けたとよ」
「そうしたら」
「確実に勝てるたい」
　美鈴は八房に答えた。
「そういうことたい」
「元々一騎打ちに強い人を選んで」
「相性のいい相手にぶつけたたい」
「だからここまで勝っている」
「そうたい、ただ」
「ただ？」
「私もここまで勝てるとは思わなかったとよ」
　こう八房に話すのだった、戦の場に術を放ちながら。
「うちの軍師さんの読みは凄かたい」
「ここまでとなると」
「これは完勝たい」
　そうなるというのだ。
「それが見えてきたたい、しかし」
「それには」
「一つ関門があるたい」
　美鈴は上を見た、見るとだった。
　その芥川がリーと綾乃がシェリルと戦い続けていた、二人の一騎打ちは今も続いている。その焦眉を見てだった。
　美鈴は八房にこう話した。
「神星同士の勝負たい」
「あれで勝たないと」
「日本の完勝にはならんとよ」
　こう言うのだった。
「うちはもう一人神星がいるたいが」
「中里がいるな」
「それでもたい」
「若し二人が負けたら」
「それで日本は劣勢に立つたい」　
「リーとシェリルがこっちに来たら」
　南洋の神星である二人がというのだ。
「この戦局も押し戻されないとよ」
「中里一人であの二人の相手は」
「難しかたい」
　だからだというのだ。
「そうなるとよ」
「そうだな、なら日本の完勝の為には」
「二人がどうかたい」
　芥川そして綾乃がというのだ。
　そうした話をしつつ美鈴も戦う、戦局は確かに完全に日本のものになろうとしていた。
　無何有郷はそのかなりの部分を日本に占領されていっていた、室生はその中で鈴子に対してこう指示を出した。
「一旦後ろに下がってくれ」
「後ろにですか」
「そうだ、敵が来る」
「そういえば」
　ここで鈴子も後方を見た、すると。
　後方ががら空きになっている、これではだった。
「あれではです」
「敵が来るな」
「狙われない方がおかしいです」
「だからだ」
「今すぐにですね」
「後ろに下がってだ」
　そうしてというのだ。
「守ってくれ」
「わかりました」
「ここは私一人でいい」
　室生一人で充分だというのだ。