夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百二十六話 ドラゴンと陣その十
「私の手勢とな」
「では」
「ここは私に任されている」
中里に委任されているのだ。
「だからな」
「私もですね」
「指示通りに動いてくれるな」
「はい」
鈴子の返事は一言だった。
「そうさせてもらいます」
「それではな」
「動きます、ただ」
「ただ。何だ」
「軍団単位での行動を委任してもらって」
室生が率いているそれである。
「有り難いですね」
「ガチガチな指揮はな」
「それはそれで問題ですね」
「そうだ、ある程度の単位の軍隊なら」
「個々での動きもですね」
「委任されるといい時もある」
「それが今ですね、ただ」
ここで鈴子はこうも言った。
「基本戦略、戦術に沿うことはですね」
「当然のことだ」
このことはとだ、室生は鈴子に答えた。
「それが出来ないとな」
「あまりにも勝手な行動を取り」
「それが戦局にも影響する」
「そうしたこともありますね」
「愚か者はそこがわからない」
「下手をすれば」
鈴子はこうしたことも話した。
「動くのは自分だとか言ってだ」
「手駒じゃないと言ってですね」
「あまりにも勝手な、尚且つ出鱈目極まる行動ばかり執ってだ」
「敗因になるケースもありますね」
「ゼークトの言う無能な働き者なぞどうにもなる」
彼が殺すしかないといった者はというのだ。
「向いている場所に就ければそれでいい」
「有能な働き者になりますね」
「だが支持を出してもこうした行動を続ける奴はな」
それは何かとだ、室生は言い切った。
「屑だ、こんな奴は反省もしない」
「自分がしたことに対して」
「もうこうした奴はだ」
それこそというのだ。
「消すしかない」
「最初から用いないことですね」
「桁外れに愚劣でどうにもならない奴はいる」
「何もかもわかっていない人ですね」
「こうした奴は何処にも就けられない」
自分が向いている分野にもというのだ。
「碌てもないことをし続けて反省しないのだからな」
「何度でもしでかしますね」
「だからだ」
「最初から用いないことですか」
「私ならその様な輩が下にいれば」
どうなるかとだ、室生は話した。
「怒ってな」
「消すとか言っておられますが」
「そうするかも知れない」
自らの手で、というのだ。
「若しかするとな」
「そうですか」
「少なくとも軍を預けるなぞな」
「出来ないですね」
「確実に敗因になるからな」
それ故にというのだ。
「それは無理だ、だが」
「今は、ですね」
「君に後ろに一個師団を率いてだ」
室生が率いている軍団の中からそれだけの戦力を割いてというのだ。
「頼むぞ」
「わかりました」
「ここは私とだ」
室生はさらに言った。
ページ上へ戻る