夢幻水滸伝
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第百二十六話 ドラゴンと陣その八
「これから後ろに下がって飲んで食べるか」
「とっておきのジュースとお菓子出して」
「そうしよか」
「今から」
「そうはいきません」
はしゃぐ四人に太宰が貝殻から言ってきた。
「一騎打ちに勝たれたならです」
「軍勢同士の戦に参加ですか」
「そうしなあきません?」
「ここは」
「はい」
まさにという返事だった。
「今丁度石川さんが勝たれました」
アルフィアンとの激しい一騎打ちを制したというのだ。
「そしてすぐに戦線に向かわれました」
「そやからですか」
「私等もですか」
「休まずにですか」
「すぐにですか」
「戦線に向かって下さい」
こう言うのだった、瑠璃子の貝殻から四人に。
「宜しいですね」
「行かなあきませんか」
「仕事終わってゆっくりとはですか」
「なりませんか」
「戦が終わるまで」
「はい」
その通りという返事だった。
「ではお願いします」
「わかりました」
四人共嫌そうだがそれでも頷いて答えた、そうしてだった。
戦場に戻るがここでだった。
中里の攻めるべき場所を的確に見て攻め退くべき場所は退く水際だった采配を見て四人でこれはと思い話した。
「やっぱり中里さんちゃうな」
「采配上手やな」
「軍勢を手足みたいに動かしてるわ」
「ほんまに凄いな」
彼の立派な采配を見て言うのだった、そして四人もそこに入って戦うのだった。
一騎打ちも日本側が次々に勝っていった、日毬はスーンに倶利伽羅丸を居合の要領で一閃を浴びせてから言った。
「秘剣幻影」
「!?これは」
スーンはその一閃を上に跳んでかわした、そう思った。
だが胸が切られそこから鮮血を噴き出す。それで着地してから言った。
「見えてるのは実は」
「そうだ、私の幻影でだ」
日毬は着地したスーンに居合の構えのままで告げた。
「実はだ」
「僕が跳んでかわすと見て」
「私も跳びそれで斬ったのだ」
「こんな技があるんか」
「そうだ、仮の姿を相手に見せ」
そしてその動きをというのだ。
「その実はだ」
「相手の動きを読んで斬る」
「そうした技だ、そしてだ」
「今の一撃で決まりや」
スーンは術で胸の傷を治した、だがそれは全快ではなく少し傷が残っている。その状態で言うのだった。
「僕の気力は尽きた」
「私はまだあるがな」
「これではもう勝負にならん」
「敗北を認めるか」
「残念やけどな」
「では離脱することだ」
戦い、それからというのだ。
「そうするがいい」
「そうさせてもらうわ、しかしな」
「どうしたのだ」
「自分と敵になるのはこれで最後になるな」
「うむ、後は仲間だな」
「それが有り難いわ、自分は強い」
文句なしにとだ、スーンは自分の言葉の中にこの単語も含めさせて話した。
「相当にな、一騎打ちやと無敵や」
「それは言い過ぎだと思うが」
「実際に僕なんかよりずっと強い」
現実としてというのだ。
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