八条学園騒動記
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第五百五十三話 カトリの髪の毛その十四
「いいんだよ」
「純血よりもよね」
「そう、人種や民族の能力の大小は個人の努力で何とでもなるけれど」
それでもというのだ。
「運動神経も知能指数もね」
「全部よね」
「それぞれの民族や人種の長所を取り入れていって」
混血してというのだ。
「人間はよくなるんだよ」
「そうよね」
「純血だとね」
「どうしてもその人種だけで」
「長所が固まるから」
だからだというのだ。
「よくないよ」
「血も濃くなって」
「ハプスブルク家みたいになるしね」
「あれは怖いわね」
ここでだ、ティンはカルロス二世の肖像画を思い出して述べた。あの彼女から見て不気味なその肖像画をである。
「じゃあ」
「そう、やっぱり人間はね」
「広く結婚して」
「混血していくのがね」
それがというのだ。
「いいんだよ」
「そうよね。人間やっぱりね」
「その方がいいよ、血も濃くなり過ぎないし」
「お互いの長所も備わっていくから」
「いいんだよ、顔立ちも整うし」
「あっ、美形になるのね」
ティンは兄の言いたいことを察して述べた。
「つまりは」
「そうだよ、エウロパなんてあれじゃない」
ピーターは今度は彼等の顔立ちのことを話した。
「お人形みたいな感じだね」
「貴族は特にね」
「そうだよね、純血だから」
「特徴が決まってきていて」
「そのお顔もね」
それもというのだ。
「お人形みたいになるんだ」
「そうなるのね」
「けれど連合は」
翻って自分達はというと。
「多くの民族、人種のお顔のいいところが出て」
「美形になってるのね」
「そうだよ、だからね」
それでというのだ。
「混血の方がいいんだよ」
「沢山の民族の美形が合わさって」
「実に人間的な」
連合では根拠なくこう言っている。
「美形なんだよ」
「それが連合ね」
「そういうことだよ、じゃあカトリにはね」
「お話してくれるのね」
「そこは任せてね」
「お願いするわね」
本題についてはあっさりとした話であった、そしてだった。
次の日ティンはピーターからカトリと昼休みに喫茶店で話をしようと申し出があったと伝えた、こうしてティンは彼女と話が出来る様になった。
カトリの髪の毛 完
2019・12・25
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