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夢幻水滸伝

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第百二十六話 ドラゴンと陣その三

「流石と言っておくわ、けれど」
「この攻撃をやね」
「何処まで凌げるかしら」
「そう言われるとわからんけど」
 パープルドラゴンのブレス、浴びた者をアメジストに変えてしまうブレスが来た。綾乃はそれを右手を前に出して術の障壁を出して防ぎつつシェリルに応えた。
「うちも意地があるし」
「負けないというのね」
「勝たせてもらうわ」
「そう言うのね、では」
「これからもやね」
「攻めさせてもらうわ」
 今度はグレードラゴンの石化ブレスが来た、そちらは大蛇が自身の身体で受けた。見れば何処も石になっていない。 
 だがそれでもだった、大蛇は綾乃に八つの頭で話した。
「このまま攻撃を受け続けるとな」
「やがてあかん様になる」
「敵の数は多い」
「このままやとやられるで」
「負けるのはこっちや」
「そうなるわ」
「ここはどうしよか」
 綾乃も珍しく普段のおっとりとした感じが薄らいでいた、そのうえでシェリルとドラゴン達を見て述べた。
「ほんま正念場やね」
「それ今更の台詞やな」
「ほんま今更やな」
「もう最初からわかってたやろ」
「そこで言うか」
「いや、最初からわかってたで」
 綾乃にしてもというのだ。
「そやけどな」
「あらためてやな」
「そう言うんやな」
「そやねん、絶対に勝たなあかん時やけど」
 そうした一騎打ちであることはだ、綾乃もわかっている。
 だがそれでもとだ、シェリルと彼女が動かすドラゴン達を見て言うのだった。
「これはどうして勝つか」
「考えてるんやな」
「今は」
「そや、どないするかな」
 言いつつシルバードラゴンが放った鎌ィ足のブレスを右手を前に出して自身の術の力で相殺する、綾乃も大蛇も防いでいるが今は明らかに押されていた。
 綾乃とシェリルの一騎打ちの横では芥川がリーと闘っていた、リーは神船の甲板から術を放つがそれだけではなかった。
 彼の周りには十のそれぞれの中国の陣のそれを思わせる門があり常に動いている、芥川はその門達を見つつ言った。
「若しもな」
「あの門の一つにでも入ったらやな」
「それで終わりや」
 自身が乗る狐に対して答えた。
「それでな」
「そやな、あれはな」
「十絶陣や」
 芥川はその門達の名前を今話した。
「それぞれ中に入るとや」
「それでやな」
「赤い血やら砂やら浴びてな」
 そうしてというのだ。
「即死や」
「そうなるな」
「近寄っただけで吸い込まれて終わりや」
「難儀な話や」
「全くや、そやからリーにはな」 
 その彼にはというのだ。
「中々近寄れん」
「ほんまにそやな」
「わかってたけど攻めにくいな」
「けどや」
 狐は自分に乗るリーに目を向けて彼に問うた。
「自分やと勝てるからやろ」
「そや、ここにおる」
 即ちリーと闘っているというのだ。 
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