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夢幻水滸伝

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第百二十六話 ドラゴンと陣その一

               第百二十六話  ドラゴンと陣
 佐藤兄妹はこの時コープチッティ、モレイとそれぞれ戦っていた。二人共今は一騎打ちではあったが実質的には二対二で戦っていた。
 そこでだ、佐藤は自分の隣にいる香菜に言った。
「わかっててもな」
「そやな、強いな」
 こう言うのだった。
「この二人は」
「それもかなりな」
「それはこっちの台詞や」
 コープチッティは自身の神具である巨大な斧を両手に持って構えたうえで佐藤兄妹に対して言葉を返した。
「強いってわかってたわ」
「それでもですからね」
 モレイも二人に言う。
「お見事と言っておきます」
「褒めてるんかいな」
「そう思って下さい」
 モレイは佐藤兄に答えて述べた。
「お二人のお強さは本物です」
「これでもあの人の弟子やで」
 香菜は笑ってモレイに言葉を返した。
「武芸も色々教えてもらったし」
「軍師としてのことは教わってへんけどな」
「そっちは私等はあかんな」
「あくまで忍やっちゅうことやな」
「師匠と違って」
「まあ芥川さんやとな」
 コープチッティも二人の話を聞いて言う。
「四智星の一人やしな」
「そこはな」
「どうしようもないわ」
「僕等はあくまで忍や」
「戦の采配とか政も出来るけどな」
「あと一騎打ちも」
「それで今はわし等を戦ってるな、ほなな」 
 どうかとだ、コープチッティはあらためて言った。
「この勝負勝つわ」
「それがしも同じです」
 モレイも続いた。
「ほなお覚悟を」
「覚悟はもうしてるで」
 佐藤はモレイにこう返した、ただし彼が闘っている相手はそのモレイではなくコープチッティの方である。
「そやから一騎打ちをしてるしな」
「闘う覚悟ですね」
「そや、ここはな」
 何としてもと言うのだった。
「勝たせてもらうわ」
「そうして日本自体も勝つで」
 香菜も言う、モレイと対しながら。
「うち等の力で」
「勝たせてもらうで」
 二人でこう言ってだった、コープチッティとモレイに向かった。二人も受けて立ち一騎打ちは続けられた。
 一騎打ちは他にも行われていた、雪路はアルフィアンの弓を避けてから彼に言った。
「間一髪ね」
「今のは当たっていたけどな」
 アルフィアンは少し離れた間合いにいる雪路に言葉を返した。
「普通は」
「そうね、けれど私もね」
「腕はあるな」
「それなりの。だから今の矢も」
「かわせたな」
「これまでの術もね」
 こちらもというのだ。
「何とかかわせてるわ」
「そやな、けどな」
「間合いはっていうのね」
「近寄せる訳にはいかん」
 ストリートギャングである雪路は接近戦即ち格闘戦が得意だ、それで弓矢と術で闘うアルフィアンにとっては不都合だから言うのだ。
「絶対に」
「そうね、あんたとしては」
「ここはそのうえで勝たせてもらう」
「あんたの考えはそうね、けれど」
「自分としてはやな」
「そうもいかなくてね、勝たせてもらうね」
 こう言って何とかアルフィアンとの間合いを狭めようとするがアルフィアンはそれを許さない、一進一退の攻防だった。 
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