八条学園騒動記
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第五百五十三話 カトリの髪の毛その十一
「神様のものよ」
「そこまでなんだ」
「それか天使ね」
ティンは今度はキリスト教の話をした。
「もうね」
「あれっ、天使って」
「どうしたの?」
「女の子だったかな」
「女の子の天使もいるじゃない」
ピーターの今の問いにだった、ティンはあっさりと返した。
「ちゃんと」
「ああ、漫画とかゲームでもね」
「小説でもそうじゃない」
「そうだったね、天使は性別がないとかも聞いたけれど」
「基本男の人みたいだし」
「キリスト教って最初は男尊女卑だったからね」
アダムとイブの話にもある通り元々はそうした宗教だった、それが次第にそれも長い時間をかけて女性の権利も獲得されたのだ。
「だからね」
「天使も男の人だったのね」
「それか性別がないか」
「そうだったわね」
「そう、けれどだね」
「今じゃそうじゃない」
「宗教画でもそうかな」
キリスト教のそれでもというのだ。
「女の子の天使もいるかな」
「連合は男女同権だから」
「性別によって出来ることと出来ないことはあるけれど」
「それで天使もね」
キリスト教の彼等もというのだ。
「女の子の天使もいて」
「カトリの髪の毛はそちらなんだ」
「私が見るとね」
「そこまで奇麗なんだ」
「あんまり奇麗で」
それでというのだ。
「今も言ってるのよ」
「女神の髪の毛ともだね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「連合の人って金髪の人も多いけれど」
これは混血の結果だ、連合は各国の各民族の間で混血が極めて進み髪の毛の色は様々なのだ。これは目や肌の色も同じだ。
「案外金髪の神様ってね」
「少ないっていうんだ」
「昔の絵だとそうじゃないかしら」
「ああ、やっぱりそれはね」
どうしてかとだ、ピーターは妹にすぐに話した。
「日本とか中国、メソポタミア、中南米、北米、オセアニア、エジプトの神様が多いよね」
「連合の神様っていうと」
「この辺りの神様が大抵黒髪だからね」
「人種的にそうだから」
「うん、だから昔の姿がね」
こうした神々のそれはというと。
「黒髪だからね」
「それでなのね」
「今は結構色々な姿に書かれてるけれど」
男神は髭がない美形に描かれ女神は美女として描かれる。
「元々はね」
「そういった神様は」
「皆黒髪だよ、信仰していた人達がそうだったし」
「アジア系の人多いわね」
「昔のね」
「メソポタミアとかエジプトも?」
「あちらはアジア系じゃなかったと思うけれど」
セム語族、ハム語族、他にも様々な民族が興亡を繰り返していた。その中の多くの民族が復活したという国も連合には多い。
「アッカドとかフェニキアとかね」
「あとアッシリアとか」
「色々な民族がいたけれど」
「それで今は連合で国を築いてるけれど」
「古代民族国家ね」
「あの人達は元々は」
メソポタミアやエジプトの彼等はというのだ。
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