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八条学園騒動記

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第五百五十三話 カトリの髪の毛その十

「そうね」
「そうよね」
「あれ見て僕も怖くなったよ」
「近親婚ってね」
「ああなるんだってね」
「最後はね」
「昔のイヌイットの人も」
 この時代でもイヌイットは存在している、ただし寒冷地に住んでいるとは限らなくなっている。熱帯に住んでいるイヌイットもいるのだ。
「そのこと気をつけていたらしいし」
「血が濃くなることね」
「本当に血が濃くなったら」
「ああなるのね」
「それ本能的にわかってるのか」
 無意識、その段階でというのだ。
「殆どの人は妹とか姉とか」
「そうした相手の人にはなのね」
「何も思わないんじゃないかな」
「そうなのね」
「というかね」
 ピーターはどうかという顔で言った。
「一緒に住んでいて日常観てたらね」
「そうした感情もなのね」
「なkなるんじゃないかな」
 こう言うのだった。
「やっぱりね」
「そうなのね」
「というか僕自分の姉妹に何か思う人の方が」
「わからないのね」
「家族にね」
「そう言われると私もね」
 ティンは考える顔になってピーターに話した。
「もうね」
「僕にはだね」
「全く何もね」
「意識しないよね」
「お兄ちゃんはお兄ちゃんで」
 それでというのだ。
「他の何にもね」
「思わないね」
「結婚しようとか思ったことは」
 それこそというのだ。
「思ったことないわ」
「そうだよね」
「あくまで他の人とよ」
 結婚するのはというのだ。
「正直それが誰かはわからないけれど」
「彼氏いないんだ」
「今はね」
「そうなんだ」
「まあそのことはいいとして」
「いいんだ」
「縁のことだし」
 ティンは男女交際についてはこう考えている、それで特に欲しいとか思うことも努力して手に入れることもしていないのだ。
「縁があればね」
「出来てだね」
「縁がないとね」
「出来ないっていうんだね」
「そんなものだから」
 そう考えているからだというのだ。
「別にね」
「そうなんだ」
「それでね」 
 兄にさらに話した。
「このことは焦ってないけれど」
「それでもなんだ」
「身だしなみのことは」
 このことについてはというと。
「そういうのと関係なくね」
「気になってだね」
「ちゃんとしたいから」
 だからだというのだ。
「カトリさんともお話したいの」
「成程ね」
「じゃあそのことお願いね」
「うん、カトリにお話しておくよ」
「そうしてね、もうあの髪は」 
 カトリの純金の髪の毛、それはというのだ。 
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