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八条学園騒動記

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第五百五十三話 カトリの髪の毛その九

「あることはあるでしょ」
「そうなのかな、けれどね」
「けれど?」
「兄妹で結婚とかして」
 そうしてとだ、ピーターはティンに話した。
「子供出来たら」
「近親婚だから」
「危ないんじゃないかな」
「それ学校の博物館でもあったわね」
「ハプスブルク家の家系だね」
 それもスペイン王家の方だ。
「あれは凄いね」
「もう叔父と姪の結婚とかばかりで」
「近親婚ばかりで」
「それで血が濃くなって」 
 ティンも話した。
「おかしな人が増えていって」
「子供も育たなくなって」 
 幼少の頃に死ぬ者が多くなったというのだ。
「最後の人もね」
「確かカルロス二世ね」
「あの人なんて」
「もうどう見ても」 
 肖像画、博物館にあったそれを見てもというのだ。
「異常よね」
「実際にそうだったらしいね」
「博物館でもそんな説明書いてあったわね」
「だから近親婚は危ないから」
 連合ではよくこう言われていることも事実だ、ただしそれはエウロパ批判という政治的なものも入っている。
「兄と妹とか」
「危ないよ」
「生物学的にもなのね」
「あれ見てね」
 ピーターはティンにこうも話した。
「さっきティンが名前出した」
「カルロス二世ね」
「あの人の肖像画見てもね」
「凄いわよね、あの肖像画」
「アルビノみたいで」
 そこまで白くてというのだ。
「何か病的だよね」
「ええ、あの白さはね」
「アルビノが悪いんじゃないけれど」
「その体質の人がね」
「アルビノは奇麗だよ」
 所謂白子である、体内の色素の関係でそうなるのだ。確かに日光に弱いがその他は何の問題もない。
「けれどね」
「あの人の場合は」
「白さでもね」
「病的よね」
「何かね、それでお顔も」
 ピーターはさらに話した。
「妙にひしゃげていて」
「下顎出てて」
「変に幼くて」
「異常な感じするわよね」
「実際かなりおかしな人だったんだよね」
「何か発育不良って書いてあったわね」
 博物館のそれにはだ。
「精神的にもね」
「何かもう人格も知能も身体もね」
「全部おかしくて」
「火炙りで喚いたり常に涎垂らしていて」
「何時死ぬかわからない位で」
「もう何ていうか」
 ティンはさらに話した。
「見ていてそれだけで不安になる」
「そんな感じだね」
「それも近親婚の結果ってね」
「書いてあったね」
 博物館の説明にだ、血統を尊んだエウロパの王族達の愚行の結果だともその説明には書かれている。 
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