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八条学園騒動記

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第五百五十三話 カトリの髪の毛その四

「王子様はその髪の毛を伝ってね」
「会いに行ってたのね」
「そうだったんだよ」
「凄いお話ね」
「というかね」
 ピーターはティンにこうも言った。
「こうしてみたら童話もね」
「ちょっとイメージ変わるわね」
「実際にはね」
「ラプンツェルの髪の毛って奇麗なイメージあるけれど」
「それ絶対に違うから」
「実はかなり汚いのね」
「それでお部屋は」
 ラプンツェルが閉じ込められていたその部屋はというと。
「抜け毛がね」
「髪の毛はどうしても抜けるし」
「だからね」
 それでというのだ。
「長い抜け毛で一杯だよ」
「余計に不潔な感じがするわね」
「イメージ狂うね」
「かなりね、けれど」
「けれど?」
「今の童話のイメージで」
 そのラプンツェルでとだ、ティンは話した。
「考えるとカトリさんはね」
「ラプンツェルみたいなんだ」
「そう思うけれど」
「ううん、そうかな」
「私としてはね」
「そうなんだね」
「逆に言うとお兄ちゃんはどう思ってるの?」
「いや、そこまではね」
「考えてなかったの」
「ちょっとね」
 ピーターは自分の考えをそのまま話した。
「考えてなかったよ」
「そうだったの」
「というかティンってカトリへの憧れ強いね」
「髪の毛についてはね」
 ティンもそれはと認めた。
「そうよ」
「成程ね」
「だから一度お話してみたいの」
 カトリ、彼女とというのだ。
「あの人と」
「じゃあしてみたらいいよ」
 ピーターは妹のその願いにあっさりと答えた。
「そこまで思うなら」
「ええ、じゃあどうしたお会い出来るの?」
「カトリのクラスに行けばね」
「いや、それだとね」
「会えるけれど」
「先輩のクラスに行くのって」
「抵抗あるんだ」
「ちょっと以上にね」
 それでというのだ。
「お兄ちゃんもそうでしょ」
「そう言われると」
 ピーターはティンの今の言葉にはだった。
 少し考える顔になりそうのうえで答えた。
「部活とか委員会で行く時は」
「緊張するわよね」
「来年か再来年そのクラスに入るかも知れなくても」
 それでもというのだ。
「どうしてもね」
「今の時点ではね」
「緊張するね」
「そうよね」
「そう聞かれたら」
 自分もというのだ。 
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