八条学園騒動記
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第五百五十三話 カトリの髪の毛その二
「女の子でもね」
「それは同じなんだね」
「そりゃそうでしょ」
「人間だったら」
「確かに性別の違いはあっても」
つまり女性の方が禿げにくいというのだ。
「それでもね」
「女の子も薄毛ってあるんだね」
「そうよ、悩んでる人もいるのよ」
「額にしても」
「それで額だって」
これもというのだ。
「広い人がいて」
「悩んでいるんだね」
「そうよ、それでカトリさんだけれど」
また彼女のことを話した。
「本当に奇麗な髪の毛よね」
「金髪、それで金髪で」
「私本気で憧れてるわ」
「そうなんだね」
「ただ憧れても」
それでもとだ、ティンはピーターに話した。
「染めるつもりはないの」
「赤毛が好きだからだね」
「そこはね」
「もう変えないんだね」
「ええ、けれど時々金髪だったらとはね」
「思うんだね」
「それで鬘買おうと思ってるの」
兄に考えている顔で述べた。
「そうね」
「いいんじゃないかな」
兄の返答は簡潔かつ明快なものだった。
「それじゃあ」
「あっさりした返事ね」
「いや、それもファッションだし」
鬘もとだ、ピーターはファッション雑誌を読みつつ妹に答えた。
「だからね」
「いいのね」
「まあエウロパの昔の貴族みたいな」
「あの左右にカール巻いたのね」
「あとね」
ピーターはさらに話した。
「思いきり、一メートル以上上にあげて」
「ああ、一番上に噴水とか水車とか置いた」
「あの馬鹿丸出しの髪型ね」
「あれ凄く頭悪そうね」
「そうだよね」
「流石エウロパね」
ティンは実にあっさりと言った、ピーターもそうだがやはり二人共連合の人間ということでエウロパへの偏見が存在しているのだ。
「そこは」
「そうだよね」
「私あの髪型出来ないわよ」
「恥ずかしいからね」
「あの左右カールの髪型もね」
「モーツァルトがしてた」
「あれって何でああしてたのか」
その貴族の髪型にというのだ。
「わからないけれど」
「あれ鬘だから」
「そうだったの」
「ロココ期の貴族はね」
欧州、特にフランスの彼等はというのだ。
「男の人は髪の毛剃って」
「それで鬘被ってたの」
「あの髪型をね」
「そうだったのね」
「それがファッションだったんだ」
「成程ね」
「ただね、僕としては」
ピーターはここでこんなことを言った。
「ああした髪型よりもね」
「他の髪型がいいのね」
「個人的には伸ばしっぱなしで」
それでというのだ。
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