夢幻水滸伝
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第百二十五話 嵐の中の戦いその一
第百二十五話 嵐の中の戦い
台風をその周りに置いた蓬莱は相当な速さで無何有郷に向かっていた、南洋の者達は今は隊列を組んでだった。
そのうえで建物に応急処置をして暴風や豪雨でも壊れない様にした、その咄嗟の仕事を終えてからだった。
ズーはほっとしてだ、兵達に話した。
「間に合ったな」
「はい、大急ぎでした」
「何とか応急にしても処置はしました」
「これで、ですね」
「台風が来ても大丈夫ですね」
「もうすぐ来ますが」
「それでもですね」
「そうや、あと自分達も吹き飛ばされん様にな」
ズーは兵達自身にも言った。
「ええな」
「わかっています」
「そこは気をつけています」
「そこは何とかです」
「気をつけています」
「吹き飛ばされない様に」
「あの勢いやと」
ズーは自分達の方に迫ってきている台風のその勢いを見てまずは息を飲んだ。それからあらためて言った。
「ほんまに吹き飛ばされることもあるわ」
「少なくとも飛べはしない」
テレサが言ってきた、今は天使族の翼も羽ばたかせていない。
「あまりにも危険だからな」
「そや、こんなのやとな」
「飛べない、しかしな」
「それでもやな」
「戦うことは出来る、だからな」
「まずは台風をやな」
「凌ぐことだ」
こうズーに言うのだった。
「相当なダメージを受けることは避けられないが」
「それはな」
「よく考えたものだ」
苦い顔でだ、テレサはこうも言った。
「日本も」
「これも芥川さんの考えやな」
コープチッティは腕を組み真剣な顔で述べた。
「絶対に」
「それはもう当然やろ」
それこそとだ、ズーはコープチッティに顔を向けて彼に述べた。
「日本の軍師さんやから」
「そやな」
「それでな」
ズーはさらに話した。
「こっちにまず台風をぶつけて」
「其れで打撃を与えてか」
「その後でな」
「日本軍自体も来るな」
「その日本軍とどう戦うか」
このことがというのだ。
「それが課題や」
「そうなるな」
「台風は凌ぐしかない」
それはというのだ。
「出来るだけの対策はしたしな」
「応急でもすることはした」
テレサはこのことを話した。
「もうこれでいい」
「そやな」
「そうだ、だからだ」
それでというのだ。
「台風はまず凌ぐ、そしてな」
「その後でやな」
「戦うぞ」
こう言ってだった、そのうえで。
南洋の者達は今は台風に向かっていた、見れば建物も兵器も台風への備えは応急でもしていた、そうして。
台風が遂に上陸した、凄まじい暴風と豪雨が浮島を前から打ちつけていく。大砲も銃も槍も自然の猛威を受ける。
それを見てだ、リサールは苦い顔で言った。
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