夢幻水滸伝
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第百二十五話 嵐の中の戦いその二
「糞っ、これだけでな」
「兵器も武器も酷いことになっています」
モレイは困った声で言った。
「ほんまに」
「こうなるってわかってたけどな」
「考えたもんやな」
「大砲は全て縛りました」
嵐で動く、それも暴走して軍勢の中を猛スピードで動き回らない為だ。若しその事態になるとそれだけで軍勢はかなりの損害を受けるからだ。大砲に跳ねられたり轢かれたりする者が続出してしまうのだ。
「それで嵐が終わっても」
「すぐには使えへんわ」
「はい、そして銃も弓矢も」
「濡れてな」
「使うには問題が出ます」
「建物も応急処置はしても」
「ダメージは受けますさかい」
このことは避けられないのでというのだ。
「兵達も嵐の中に身体を置いてます」
「おいら達もな」
「そんな状況ですさかい」
それでというのだ。
「風と雨で身体も冷えて」
「ダメージも受けてな」
「その後の戦ですから」
「辛いな」
「それもかなり、雨衣を着ていても」
見れば全ての将兵が着ている、こうした時の備えであることは言うまでもない。
「この嵐では」
「着てるだけましやが」
「ましというだけです」
「そやな、外におるとな」
「中でも建物が」
モレイが傍にあった兵舎の一つを見るとやや動いていた、このまま嵐が続くと壊れてしまいそうである。
「これでは」
「相当痛んでるな」
「今の時点で、ですから」
「今は何処におってもか」
「この無何有郷の中では」
「考えたもんや」
「全くですね、そして」
嵐の後でとだ、モレイはリサールに話した。
「来ますね」
「ああ、嵐で打ちのめされたおいら達にな」
「そうなるわ」
二人共歯噛みしていた、台風は確実に南洋の無何有郷も将兵達も痛めつけていた。彼等は今は吹き飛ばされない様にするだけで必死だった。
だが日本は違っていた、彼等は風も雨も受けていない。
当然綾乃達もだ、綾乃は既に八岐大蛇を出してそのうえで彼の背中にいる。そこで大蛇に対して言うのだった。
「いや、凄い威力やね」
「台風がな」
「凄まじい風と雨や」
大蛇達も八つの頭で話す。
「これだけで敵にかなりのダメージを与えてる」
「移動要塞全体にな」
「これだけダメージを与えたら」
「戦の時にはかなり疲弊してる」
「そやね、千歳ちゃん達もあんじょう操ってくれてるし」
綾乃は今は蓬莱の中で台風を操ることに兵達の中にいる風水師達を補助に受けて専念している彼女のことも話した。
「これやとね」
「わし等が戦う頃にはな」
「敵はもうボロボロや」
「文字通り攻めどころや」
「その頃はな」
「幾ら敵が大軍でも」
それでもとだ、綾乃はさらに言った。
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