八条学園騒動記
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第五百五十二話 エンディングを観つつその六
「もうね」
「とんでもないことになるのね」
「これはないだろっていうバッドエンドみたいな」
その様なというのだ。
「そんな展開みたいよ」
「旧約聖書みたいな」
「あんな感じでね」
「確かコーランって」
ベスがイスラムの聖典について述べた。
「ハッピーエンドばかりよね」
「モーゼとアロンもね」
ジョーはコーランでの彼等、そこではムーサーとハールーンとなっている二人の話もした。
「聖書だと碌でもない展開になるわよね」
「何十年も彷徨うとか」
「それがハッピーエンドになるの」
「そうなのね」
「本当にコーランは」
同じ登場人物が出てもというのだ。
「聖書とはね」
「ストーリーが違うのね」
「そうなるのね」
ベスだけでなくエイミーも応えた。
「モーゼにしても」
「他の人にしても」
「何かそう聞いたことあるけれど」
「私もね」
「けれど実際になのね」
「かなり違うのね」
「何か苦難をライトノベルの主人公みたいに」
そうした感じでとだ、ジョーは妹達に話した。
「乗り越えてね」
「ハッピーエンドなの」
「そうなっていくのね」
「悪人も改宗すれば」
即ち敵役もというのだ。
「それでいいし」
「イスラムは寛容ね」
「聖書だと敵は殲滅するのに」
特に旧約聖書ではそうである。
「改宗すればよしって」
「全く違うわね」
「しかもハッピーエンドばかりって」
「それも凄いわね」
「ダビデ王もね」
勿論呼び方はイスラムのそれになっている。
「バッドエンドじゃないから」
「確か不倫するのよね、あの人」
「そういえば前の王様に殺されかけて逆に、だったし」
「結構あの人も血生臭いわよね」
「悪いこともしてるわね」
「やっぱりハッピーエンドでね」
結末はそれでというのだ。
「それで前の王様ともね」
「殺したりしないの」
「そうなの」
「前の王様が自分の非を認めてね」
ダビデを殺そうとしたそれをだ。
「喜んで王位を譲ってね」
「和解なのね」
「それで終わりなのね」
「そう、とにかくね」
コーランではとだ、ジョーはさらに話した。
「同じ神様、登場人物と思えない位に」
「結末が違うのね」
「それも全く」
「そうなの、読んでいて楽しくて」
ジョーは妹達に笑って話した。
「最後まで一気に読んだわ」
「聖典を一気にって」
エイミーは次姉のその話を聞いてそのうえで言った。
「凄いわね」
「ええ、そうでしょ」
「普通はそうしたことないわよね」
「聖典とか畏まって読むわよね」
「味わうみたいにね」
「それこそ少しずつね」
「有り難くね」
そうしたものだとだ、ジョーに話した。
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