夢幻水滸伝

「ほんまにな」
「何時でもやな」
「操れる様になってるで」
「それは何よりや、ほなな」
「今からやね」
「千歳ちゃんに頼んでくれるか」
　棟梁である彼女にというのだ。
「貝殻で」
「ほなな」　
　綾乃も応えてだ、貝殻を出して。
　すぐに連絡をした、するとだった。
　千歳は今自分がいる一室広いそこでだった。他の風水師達に言った。
「これからね」
「はい、台風を操りますね」
「その暴風と豪雨を」
「そしてそのうえで」
「台風をですね」
「動かして」
「敵に向かうわ」
　千歳は真剣な顔で述べた。
「この蓬莱ごと」
「大きな策ですね」
「何と言えばいいのか」
「これ以上はないまでに」
「そしてその策で」
「日本は勝ちますね」
「その為に」
　千歳は小さな身体に大きな決意を宿らせて述べた。
「私達は頑張りましょう」
「是非」
「その為にも」
「ここは頑張りましょう」
「私達が」　
　部下の風水師達も応えた、そしてだった。
　蓬莱が台風の目の中央に来た瞬間にだった、台風の動きが変わった。速度と勢いを増して無何有郷に向かいだした。
　それを見てだ、南洋の者達は驚愕した。
「台風が進路を変えた！？」
「こちらに来るぞ」
「一体どういうことだ」
「何故そうなる」
　殆どの者がそれが何故かわからなかった、だが。
　リーは蓬莱を中央に置き自分達のところに向かう台風を見てすぐにわかっら。それでここう言った。
「台風を操っているな」
「まさか」
「そうだ、日本には風水師の星の者もいる」
　リーはシェリルに千歳のことを話した。
「星の者が風水師だとな」
「台風を操るまでというのね」
「絶大な力を備える」
　それ故にというのだ。
「そこに他の風水師達の力も借りれば」
「尚更というのね」
「そうだ、だからだ」
「今日本は」
「台風を操りそれを我々にぶつけ」
「そのうえで」
「戦に入るつもりだ、若しだ」
　リーはさらに言った。
「台風を受けるとな」
「どれだけのダメージを受けるか」
　それこそとだ、シェリルはすぐに言った。
「わかったものではない」
「ええ、何とかここは」
「避けたいが」
　台風、それをというのだ。
「今の距離、そして敵の今の速度から考えると」
「間に合わないわね」
「これは私の失態だ」
　リーは苦い顔で述べた。
「まさかこう来るとはな」
「私も思わなかったわ、けれど」
　シェリルは歯噛みするリーに対して落ち着いた声で告げた。