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夢幻水滸伝

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第百二十四話 台風とその十一

「どういうつもりや」
「わからないですね」
「台風の中に入るとだ」
「暴風と豪雨が護りにはなっても」
「それでもだ」
「少しでも目から出ると」
 安全なそこからだというのだ。
「そうなればです」
「暴風と豪雨で移動要塞も将兵もやられる」
「そうなりますが」
「日本はどういうつもりだ」
「台風に入り我々をやり過ごすのか」
「それは有り得ない」
「この度の戦は勝ち残りです」
 ダーガーはこのことを指摘した。
「戦って勝たねば意味がありません」
「そうだ、ではどういうつもりだ」
「さて、これは」
 ダーガーも首を傾げさせるばかりだ、このことは南洋の他の星の者達も同じで誰も日本の考えがわからなかった。
 それはリーとシェリルも同じで無何有郷の天主から状況を見て言った。
「これはな」
「わからないわね」
「どうもな」
「何かしらの考えがあるわ」
「そのことはわかるが」
「一体それが何か」
「それが、だが」
 ここでだ、リーは一つの決断を下した。その決断はというと。
「ここは状況を見る」
「そうするのね」
「そうだ、だからだ」
 それでというのだ。
「ここはだ」
「様子見ね」
「警戒しつつな、そして動きを見極めれば」
 その時はというのだ。
「向かってだ」
「戦ね」
「それに入る」
 こうシェリルに言ってだった、リーは今は様子見をすることにした。無何有郷は今は警戒態勢を強めつつ日本の動きを見ていた。
 その南洋の動きを見てだ、綾乃は蓬莱の天守から様子を見つつ芥川に言った。天守の形は安土城に似ているが色は純白だ。
「あちらさん動き止まったね」
「こっちの動きを見極めようとな」
 それでとだ、芥川は綾乃に答えた。
「そうしてるんや」
「それでやね」
「そや、けれどな」
「これがやね」
「そうしてくると思ってたしな」
 それにとだ、芥川は綾乃に話した。
「相手の動きがわからんと人は見極めようとする」
「ごく自然に」
「さもないと危ないからな」
「相手が何してくるかわからんと」
「そうしてくる、それは生物の習性や」
「そやからやね」
「あっちもそうした、けどな」
 その相手を見極めようと動きを止める、そのことがというのだ。
「そうしてくると言うたけど」
「それがやな」
「狙い目や、相手が動きを止めた隙に」 
 芥川は今度は中里に話した。
「隙が出来るからな」
「その隙もやな」
「衝いてな」
「攻めるんやな」
「そや、今のうちにな」
 まさにというのだ。
「やるで」
「今からやな」
「ああ、千歳ちゃんももうやな」
「他の風水師達も従えてな」
 そうしてとだ、綾乃が芥川に答えた。 
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