夢幻水滸伝
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第百二十四話 台風とその十三
「今それを言ってもはじまらないわ」
「それよりもか」
「これからどうするかよ」
大事なのはこのことだというのだ。
「だから」
「ここはか」
「どうすべきか考えて答えを出しましょう」
「台風の直撃は最早逃れられない」
リーはシェリルの言葉を受けて即座に考えた、そうしてそこからシェリルに話した。
「ならだ」
「そのことを覚悟して」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「戦うべきだ」
「ではね」
「台風の直撃を受けた後で彼等は出て来る」
日本の者達はというのだ。
「だからな」
「戦闘用意ね」
「それはもう整えている、このままだ」
「台風を受けても」
「台風に向かって砲撃を加え」
そしてというのだ。
「術もだ」
「浴びせるのね」
「そうして台風の衝撃を抑え」
「台風の向こうの日本も」
「出来るだけな」
例え台風のせいで威力が期待出来ずともというのだ。
「損害を与える」
「そうするわね」
「そうだ、いいな」
「それしかないわ」
シェリルも他の考えが思い浮かばなかった、それで言うのだった。
「考えてみても」
「そうだな、ではな」
「ここはね」
「そうして戦う。台風の直撃は受けるが」
「それでも」
「吹き飛ばされない様に心掛けておくしかない」
「建物も壊れるけれど」
シェリルはこのことを話した。
「それでも」
「そうだ、もうだ」
台風が目の前にある、そうした状況になってしまっているからだというのだ。
「それは避けられない」
「最早避けられないなら」
「出来るだけ損害を抑えることだ」
「そうしなければならないわね」
「だからだ、総員戦闘用意に入ったままでだ」
そのうえでというのだ。
「台風にも備えるのだ」
「そしてそのうえで」
「台風の後で必ず来る」
日本の軍勢、彼等がというのだ。
「そこで戦う」
「ではね」
シェリルはリーのその考えと言葉に頷いた、そうしてだった。
南洋軍は台風に向けて砲撃と術の攻撃をはじめた、どちらも数があり攻撃力はかなりのものだった。だが。
その攻撃を受けてもだ、台風は衰えない。しかも。
台風の目の中にいる日本軍に損害は与えられない、南洋の者達はこのことに歯噛みするが。
台風の中でだ、武者小路は今まさに攻撃に入る用意の中で遠藤に話した。
「いやあ、自然は凄いわね」
「ああ、物凄い砲撃や術の攻撃が」
遠藤も応えて言う。
「全く通じていないな」
「自然の防御壁ね」
武者小路はこうも言った。
「これは」
「まさにな」
「しかもよ」
武者小路はさらに言った。
「この台風を敵にぶつけたら」
「その時は」
「相手がどれだけ損害を受けるか」
「そちらも凄いだろうな」
「いや、恐ろしい策を考えたものよ」
武者小路は今は人間の顔だ、狼人にはなっていないのは昼だからだ。
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