ヘタリア大帝国
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
TURN32 奇襲その四
そしてそのうえでだ。こう言うのだった。
「今戦争に入れば」
「そうだね。やっと準備に入ろうっていう段階だしね」
アメリカ妹が言う。これはマニラやミクロネシアだけではなかった。
ガメリカ全域がだった。そんな考えは殆どなかったのだ。
だが戦争がはじまろうとしている。その中でだった。
今度はキャロルがアメリカに言った。
「ここで攻められたらね」
「かなりまずいぞ」
「ええ、バカンス中なのに」
「例え敗れるにしてもね」
一旦だがそれでもだと。ハンナも言う。
「負け方があるから」
「ならどうするの」
ドロシーはこの状況でも冷静だった。
そしてその冷静な状況でだ。ハンナに問うたのである。
「ここは」
「宣戦布告から戦闘まで時間はあるわ」
これは普通の戦争の常識でのことだった。
「それならね。すぐにね」
「休暇は中止ね」
「ええ、総員戦闘配置よ」
方針は即座に変わった。まさに一変だった。
「祖国さんはマニラに向かって」
「わかった。それならな」
「妹さんはハワイに」
「マイクロネシアじゃないんだね」
「マイクロネシアが陥ちたらハワイが危ういから」
だからだというのだ。
「万が一ハワイを攻め落とされたらいけないから」
「だからなんだね」
「ええ。妹さんはハワイよ」
そしてそこで守りを固めろというのだ。
「そうしてくれるわね」
「わかったよ。それじゃあね」
「さて。その日本の使者を迎えましょう。祖国さん達がそれぞれの星域に向かうのも」
それもだというのだ。
「まずはね」
「日本からの宣戦布告を聞いてからだな」
「そうしてね」
「わかった。それじゃあな」
この時ガメリカ政府の誰も、国家達も日本の動きを察知していなかった。彼等が既に艦隊を動かしていることに。そして彼等が今何処にいるのかも。
何も知らないままルースの大統領官邸においてだ。彼等は宣戦布告の使者である日本を迎えた。日本はまずは日本帝国の敬礼でルースに応えた。
「お久しぶりです、大統領閣下」
「日本君だね」
「はい、そうです」
その通りだとだ。日本も答える。
「この度参りましたのは」
「何かな」
ルースは大統領の席から何も知らないという顔で返す。彼の後ろには。
四姉妹とアメリカ兄妹がいた。彼から見て右手にアメリカ、ハンナ、キャロルがそれぞれ並び左手にはアメリカ妹、クー、ドロシーがいる。彼等を後ろにしてだ。
ルースは芝居を続ける。そのうえで言うのだった。
「それで」
「はい、これをお渡しに来ました」
こう言ってだ。日本は一枚の書類を出してきた。それは。
宣戦布告文だった。予想通りだった。しかし。
ルースは驚いた顔を作りだ。こう言うのだった。
「何と、これは」
「我が国は貴国の提示した要求を飲めないという結論に達しました」
それでだというのだ。
「ですから」
「その要求をまだ出すというのならだね」
「宣戦布告を行います」
「わかった。それではだ」
ルースは鷹揚を装った演技のまま応える。仕草もそうしたものだ。
ページ上へ戻る