ヘタリア大帝国
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TURN32 奇襲その五
「これを受け取ろう」
「では、ですか」
「これより我がガメリカ共和国と日本帝国は戦争状態に入る」
「はい、残念ですが」
「ならだ」
それならというのだった。
「そういうことでいい」
「畏まりました。では」
日本は敬礼と共に退室した。戦線布告自体は終わった。それを受けてだ。
キャロルが早速だ。アメリカに威勢よく告げた。
「じゃあ祖国ちゃん健闘を祈るわ」
「ああ、行って来るぞ」
キャロルに肩をぽんぽんと叩かれながらだ。アメリカも元気に返す。
「今からバカンスを切り上げて戦闘用意だ」
「戦ってそうしてね」
「ダグラス司令官と一緒に撤退だな」
「そうしてね」
こう話してだ。そのうえでだった。
アメリカはマニラに向かった。瞬時に姿を消す。
そしてアメリカ妹もハワイに向かった。こうして残ったのはルースと四姉妹だけになった。
そうなるとすぐにだ。またキャロルが言った。
「じゃあ。今からあたし達の戦略の本格的な開始ね」
「そうなるわ」
「何かドロシーは嬉しくないみたいね」
「結果はわかっているから」
それ故にだと。ドロシーは無機質にキャロルに話す。
「特に思うことはないわ」
「まああたし達が勝つに決まってるけれどね」
「そういうことだから」
ドロシーはまた言った。
「後は駒を動かすだけ」
「そうよね。まあとにかくね」
キャロルが明るくだ。ここでも言った。
「日本は一撃浴びせてやりましょう」
「あの国にはソビエトと戦う大任があるわ」
ハンナは見事なまでに勝手に日本帝国の国家戦略を決めていた。
「力は残してもらわないとね」
「そういうことになるか」
ルースはハンナ達の話を聞いてどうにも微妙な顔になった。
そのうえでだ。こうも言ったのである。
「私としてはソビエトは」
「プレジデント、あの国は駄目よ」
ソビエトに何処か同感しているルースにはだ。ハンナはぴしゃりと言った。
「共有主義は題目はいいけれど」
「その実態はロシアだというのだね」
「そうよ。しかもカテーリンという女の子は」
「あれもまたファンシズムというのだね、国務長官は」
「ええ、そうよ」
こう自分の上司にも言う。遠慮なく。
「何度でも言うわ。あの国とだけは駄目よ」
「そうか。そして日本は」
「あくまで一撃だけで降伏させるに止めるわ」
止めは刺さない、ハンナはあくまでそう割り切っていた。
「貴方はどうも日本帝国が好きではないみたいだけれど」
「学生時代読んだのだよ。日本帝国の企みについて」
「あの、プレジデント田中上奏文の類は」
クーはルースが学生時代に読んだというものについてすぐに察した。それでこうおずおずと言うのだった。
「デマコーグですので」
「信じては駄目というのだね、財務長官は」
「はい、気をつけて下さい」
「むしろ問題はソビエト」
ドロシーもこう見ていた。
「ドクツは適当に暴れさせていいけれど」
「しかしドロシー、ドクツも放置できないぞ」
アメリカは真面目にそのドロシーに言った。
「あのままでは欧州は大変なことになるじゃないか」
「むしろそれが好都合」
ドロシーもだ。ハンナと同じくシビアだった。
「ライバルが自然に潰れるから」
「それが戦略なんだな」
「祖国さんの為の戦略」
ドロシーは今はあの機械の、コンピューターと一緒になっている席には座っていない。普通の席でコーヒーを飲みながら話している。その中でだった。
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