八条学園騒動記
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第五百五十一話 ノーダメージクリアその八
「ああした人はね」
「コミュニケーション能力ゼロだから」
ベスははっきりと言い切った。
「どう見ても」
「だから残念なことにね」
メグはベートーベンについてこうも言った。
「あの人生姜独身だったの」
「結婚出来なかったのよね」
「結婚して」
ベートーベン本人としてだ。
「そしてね」
「家庭を持ちたかったのね」
「それが出来なかったことは」
「その人柄のせいね」
「恋愛はしても」
それでもだったのだ。
「失恋して」
「それでだったのね」
「家庭を持てなくて」
「生涯独身だったのね」
「そうだったのよ」
「確か甥御さんが養子になってたのよね」
エイミーはこのことを話した、尚この養子は出来が悪いと言われていたが実は至極真っ当な人物であった。
「そうよね」
「それで一緒に住んでいたわ」
「そうだったのよね」
「けれど奥さんはね」
そして血を分けた子供はだ。
「いなかったの」
「そうだったのよね」
「そう思うとね」
メグは最終決戦、ボスのそれの前に出て来たこれまでのステージのボス達を圧倒的なテクニックで倒しつつ述べた。
「可哀想な人だったのよ」
「そうよね、本当にね」
「ゲーテさんと大喧嘩して」
ゲーテが自分がよくしてもらっている貴族の馬車に一礼すると共に散歩していたベートーベンが何故ゲーテ程の人物が貴族なぞに頭を下げるかと激怒した結果だ、歴史に残る偉人達の逸話の一つである。
「憐れむべき野獣と言われたのよ」
「そんな人柄だったから」
「そうもね」
「野獣だったのね」
「だってとんでもない癇癪持ちだったから」
「頑迷で尊大で気難しくて」
「野獣と言うとね」
この表現もというのだ。
「有り得たのがね」
「ベートーベンさんだったのね」
「それでも孤独でね」
その人柄故にしてもだ。
「耳も悪かったし」
「聞こえなくなったのよね」
「今の医学じゃすぐに治ったけれどね」
「治ったの、耳」
「梅毒のせいだったみたいだから」
それで耳の穴が塞がってしまったらしい、梅毒の症状で。
「だからね」
「それでなのね」
「梅毒は治るから」
「まあね、あの病気は」
「スメタナも梅毒だったけれど」
彼の場合はより深刻で耳は聞こえなくなり狂気にも陥ってしまった。
「この人もね」
「治ったわね」
「梅毒だとね」
「ベートーベンさんの耳も治って」
「平和にね」
まさにというのだ。
「音楽活動も出来たわ」
「あの人耳も問題だったからね」
「ええ、それでその耳のこともあって」
「憐れむべき野獣だったのね」
「その人柄故に孤独で求めるものは得られなくて」
家庭というものがだ。
「耳も治らなくて」
「本当に可哀想な人だったのね」
「とはいっても同情は」
これはとだ、メグは第六ステージのボスであったキャラにスクリューパイルドライバーを決めてから言った。
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