八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百五十九話 思わぬ人その一
第二百五十九話 思わぬ人
僕に声をかけてきたのは詩織さんだった、詩織さんは僕に対して聞いてきた。
「義和今はどうしてるの?」
「どうしてるって。何もすることないから」
僕は詩織さんにすぐに答えた。
「見ていようってね」
「それでなのね」
「そう思ってここから離れようとしたけれど」
「そうだったのね、それじゃあ」
僕の話をここまで聞いてだった、詩織さんは微笑んで言ってきた。
「これからね」
「これから?」
「一緒に踊らない?」
「えっ、いいの?」
「私も相手の人いないから」
それでというのだ。
「だからね」
「それでなんだ」
「私でよかったらね」
微笑んだまま僕に言ってきた。
「それでね」
「急に悪いね」
「悪くないわよ、私も相手の子いないから」
それでというのだ。
「義和が丁度いてくれたから」
「お誘いかけてくれたんだ」
「ええ、じゃあね」
「今からだね」
「一緒にね」
まさにというのだ。
「踊りましょう」
「それじゃあね」
こうしてだった、僕達は。
一緒に踊ることになった、そのことが決まってから一緒にいることにした。けれどこの時にだった。
僕は今から燃えるキャンプファイアーを見て言った、まだ火は点けられていなくて台だけがそこにある。
「あと少しだね」
「あっ、火が点けられるわね」
「そうなるよ、そうなれば」
「文化祭も終わりね」
「終わりのはじまりだよ」
千歳さんにこうも言った。
「その時こそね」
「そうよね、長かった様で」
詩織さんもキャンプファイアーを見ている、そのうえでの言葉だ。
「あっという間だったわね」
「うん、僕もそう思うよ」
「楽しい時は終わって」
詩織さんはこうも言った。
「また日常に戻るのね」
「日常は嫌かな」
「嫌じゃないけれど」
それでもという言葉だった。
「いつもと変わらないね」
「そうしたことはなんだ」
「ハレの日から戻るってなると」
「それがなんだ」
「そう、本当に」
それはというのだ。
「やれやれともね」
「思うからなんだ」
「それがね」
どうしてもという返事だった。
「ぢょっと、って思って」
「明日から学校だ、だね」
「休日の後の」
「それかな」
「そうかもね、学校の中のことだけれど」
文化祭にしてもだ。
「授業に戻るでしょ」
「それがどうかだね」
「ええ、まあそれはわかってたし」
どう思っても受け入れる、そうした顔と言葉になっていた。
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