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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百五十八話 キャンプファイアーその十七

「しただけだから」
「そうした人ですか」
「まあ明治の日本は違うけれどね」
「しなくてはならなかったですね」
「日露戦争は特にね」
 目の前にロシアが迫っていたからだ。
「そうした戦争でね」
「ビスマルクさんより受動的ですね」
「大体勝てないってね」
「当時のロシアにはですね」
「皆思っていたから」
 当時の政府の人達はだ。
「伊藤さんだってそうだったしね」
「もう無理だと」
「国力差十倍だったから」 
 もう大人と子供位の差だった。
「それで勝てるとかね」
「思わなかったので」
「したくなかったんだ」
「けれど戦わないと」
「半島がロシアになって」
 当時のロシアにあの半島を手に入れる力がなかったとか言っていた人がいる、しかしそんなことが間違いなのは言うまでもない。あの巨大さと国力で半島を飲み込めないとか間違っても思えない筈だ。
 しかもロシアはもう韓国の名前を自分達の軍艦に使っていた、自国領とさえみなしていたのは明らかだったのだ。
 そんな状況だった、それならだ。
「もう日本に迫ってきたらね」
「終わりですね」
「そうした状況だったから」
 それだけにだ。
「日本はね」
「戦うしかなかったですね」
「そして戦ったんだ」
「ビスマルクさんより消極的ですね」
「幕末や維新じゃないけれど」 
 その後の時代のことだ。
「それでもね」
「このことはですね」
「覚えておかないとね」
 それも絶対にだ。
「いけないよ」
「そうしたことの一つですね」
「そう思うよ、ですね」
 ここで千歳さんは自分の携帯を出した、着信音が鳴ったからだ。着信音は今の流行りの音楽だった。
「あっ、もうすぐ彼が」
「こっちに来るんだ」
「連絡が来ました」
「そう、それじゃあ」
「はい、また」
「うん、じゃあね」
 僕は千歳さんの言葉を受けてだった。
 今は千歳さんと別れた、そうしてだった。
 僕はキャンプファイアーの場を後にしようとした、だがここでだった。ある人から千歳さんと別れた直後に声をかけられた。その人はというと。


第二百五十八話   完


                 2019・11・1 
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