ヘタリア大帝国
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TURN31 開戦その三
そして御前会議の場には遂に宇垣が戻ってきていた。彼は憤然として帝、そして居並ぶ日本帝国の重臣や国家、神達に述べていた。
「取り付く島もありませんでした」
「ガメリカの対応はですか」
「まず中帝国の全ての領土からの撤収です」
ガメリカからの要求をだ。宇垣は帝に話していく。
「そして日本領にガメリカの基地を置くこと」
「ガメリカ軍の」
「そうです。そしてその維持費や補給費用は日本帝国持ちとのことです」
宇垣は憤然としたまま話していく。
「台湾及び韓国の独立も言っています」
「それは別にいいんじゃないか?」
「そうですね」
東郷と秋山は密かにこう話した。
「半島併合からあそこへの投資は馬鹿にならないものになっているからな」
「ようやく台湾さんも韓国さんも一人立ちできそうですし」
「友好国のままでいてくれたらな」
「別に問題はありませんね」
「平良達は怒るだろうが」
「それでも。採算を考えれば」
彼等は経済的な視野から述べていた。尚これは日本帝国の元老である伊藤公爵の考えでもある。
「その方がいいかも知れないな」
「最悪日本帝国の属国位で」
「しかもですぞ」
宇垣の話はさらに続いていた。今度はこう言うのだった。
「三国同盟の破棄に」
「今度はそれか」
山下の顔が厳しくなる。普段以上に。
「それが飲めるかどうか」
「そうした要求を受け入れない場合は」
どうなるかと。宇垣はこのことも話した。
「ガメリカの要求を受け入れられなければあらゆる資源の輸出停止に」
「何っ!?」
「それは」
山下だけでなく東郷もだ。このことには思わず声をあげた。
「それだけ無茶苦茶な要求を受け入れられないとか」
「今度はそれですか」
「そう言ってきている。だがガメリカの要求を飲めば」
宇垣は怒りを必死に堪え怒りに震える顔で述べる。
「我が国はガメリカの属国となってしまう」
「そうなればです」
帝、この場ではこれまで沈黙していた帝がここで言う。
「我が国はその状況でやがてはソビエトと戦わさせられるでしょう」
「それは自明の理かと」
ソビエトの危険性を考えればだと。宇垣は帝に述べた。
「そうなれば我が国は悪戯に人命も国力も消耗しています」
「ガメリカからの要求は飲めません」
帝は一言で結論を出した。
「絶対にです」
「では、ですか」
日本がここで帝に問うた。
「帝のご決断は」
「はい、開戦です」
こう言ったのだった。帝もまた。
「それしかありません。我が国はものを言わぬいじめられっ子ではありませんから」
「しかしですぞ」
あえてだ。宇垣はここでこう帝に言ったのだった。
「ガメリカの国力は圧倒的です」
「我が国の十倍ですね」
「はい、しかもガメリカはエイリスと同盟を結んでいます」
世界を主導するこの老大国もいるというのだ。
「今の中帝国だけでなくこの二大国も相手にしますが」
「勝ち目はないというのですね」
「残念ながら」
言いにくいがあえてだった。宇垣は今はこう言う役に専念した。
「その通りです」
「そのことはわかりました。しかしです」
「このままでいればですな」
「我が国はガメリカ、中帝国の属国に成り果ててです」
「ソビエトとの戦いで悪戯に消耗していきます」
「そんなことは飲めません」
また言う帝だった。
「では、です」
「開戦ですか」
「はい。そうします」
「わかりました。それならです」
帝が決意を見せたところでだ。東郷が言ってきた。この状況でも彼はその顔に余裕を見せている。
その顔でだ。彼は言うのだった。
「かねてよりの計画を実行に移します」
「ガメリカ、エイリスとの戦争計画をですね」
「そうします。既に全艦隊の出撃体制は整っています」
「陸軍もです」
山下も言ってきた。その手にある刀は今にも抜かれんばかりだ。
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