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ヘタリア大帝国

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TURN31 開戦その四

「必ずや。帝のお悩みを消し去ってみせましょう」
「では。お願いできますね」
「はい」
「無論です」
 東郷と山下は同時に答えた。
「お任せ下さい、この戦い」
「必ず勝ちます」
「では私もです」
 宇垣もだ。ここで名乗り出たのだった。
「久方ぶりに提督として戦わせてもらいます」
「外相自らですか」
「そうだ。東郷、それいいか」
 宇垣は東郷の目を見て彼に問うた。そこにあるものは。
 赤い心、帝と日本帝国に対するそれがあった。彼は確かに色々と問題はあるだろうがそれでもだった。
 国士だった。それも優秀な。その彼の心を見た東郷は。
 確かな顔でだ。こう宇垣に答えた。
「わかりました。それでは」
「提督として使ってくれるか」
「お願いします。今は少しでも人材が必要です」 
 何時になく真剣な顔でだ。東郷は宇垣に答えた。
「では」
「頼むぞ」
「宇垣、お願いしますね」
 帝も宇垣のその赤心を見た。それでだった。
 彼にも声をかけた。そうしてだった。
「では我が国は今よりアメリカ大使を呼び宣戦布告を伝えます」
「そしてですね」
 日本も言ってきた。ここで。
「ガメリカ大統領自身にも」
「その宣戦布告と同時に」
 秋山も言ってきた。
「我が国はマニラ2000、マイクロネシアに侵攻します」
「文字通りガメリカの前線基地にですね」
「はい」
 まさにそうした場所にだとだ。秋山は帝の問いにも答える。
「そうします。奇襲です」
「そのまま勢いに乗ってです」
 東郷も話す。
「エイリスの植民地やソロモンに攻め込みます」
「ハワイには攻め込まないのですね」
「そうしたことは山々ですがね」
 だがそれでもだとだ。東郷は帝の今の問いに答えた。
「ハワイは堅固です。今の我々の戦力で攻め込んでも」
「陥落しないですか」
「まずはまくロネシアとソロモンを押さえます」
 そうしてだというのだ。
「ハワイを牽制しそのうえで」
「エイリスの植民地を手に入れてですね」
「はい、勢力を蓄えます」
 こう帝に話すのだった。
「そしてそれからです」
「ハワイの攻略に取り掛かりますか」
「一気にアラビアまで向かいます」
「何と、アラビアまで」
「そうです。エイリスの力もこれでかなり弱まります」
「大きいですね。そうなると」
 帝は東郷の話を聞いてまずは賞賛の言葉で応えた。だが、だった。
 それでもすぐにだ。顔を引き締めさせてこう言ったのだった。
「ですがそれは」
「実現できる可能性はですね」
「かなり低いですね」
「そのことは否定しません」
 もっと言えばできなかった。このことが否定できないことは他ならぬ海軍を率いる東郷自身が最もよくわかっていた。彼は嘘を言わなかった。
「エイリスの植民地自体は大した戦力もなく分散配置されていますが」
「そして兵器も旧式ですね」
「各地を占領していくこと自体はまだ何とかなります」 
 だがそれでもだというのだ。
「ですがエイリスも馬鹿ではありません」
「必ず、ですね」
「本国より正規軍を送ってきます」
 このことも読んでいた。だが東郷の読みはそれだけではなかった。
 彼はさらにだ。帝にこう言ったのだった。
 
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