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八条学園騒動記

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第五百五十一話 ノーダメージクリアその六

「推挙出来たことはね」
「凄かったわね」
 エイミーもこう言うしかなかった。
「普通音楽はよくてもね」
「コミュニケーションなかったから」
 それ故に敵に囲まれていた、だが彼を敬愛する人が多かったことも事実だ。清廉潔白で公平かつ信念の強い性格であったことは事実だからだ。
「普通に敵に囲まれてたし」
「思いきり嫌われていて」
「あれだけの嫌われ者もね」
「いなかったのね」
「意地悪じゃなかったけれど」72
「今言った部分がね」
「とんでもなさ過ぎて」
 ジョーはエイミーにさらに話した。
「それでだったのよ」
「お友達いなくて」
「それどころかね」
「敵だらけで」
「その人を推挙したのよ」
 サリエリ、彼はというのだ。
「モーツァルトに嫉妬したけれど」
「実はモーツァルトさん殺してない?」
 ベスはジョーの話を聞いて言った。
「ひょっとして」
「そうよね」
「お姉ちゃんもそう思うのね」
「そんな人を公平に推挙出来る人がね」
「モーツァルトさんに嫉妬していても」
「殺すとか」
 そうしたことはというのだ。
「ちょっとね」
「考えられないわね」
「どうもね」
「私もそう思うわ」
 メグは最終ステージもさくさく進みながら妹達の話に加わった、強敵の群れもトラップも何でもない感じだ。
「あの人はね」
「モーツァルトさん殺してないわね」
「それはしないわ」
「そうよね」
「そう、本当にね」
「そんな人じゃないわね」
「私は前にサリエリさんのことを調べて」
 そうしてというのだ。
「思ったわ」
「モーツァルトさんを殺してないって」
「そうしたことをする人じゃないわ」
「嫉妬はしていても」
「その感情はあっても」
 モーツァルトに対するそれはというのだ。
「それでもね」
「人を殺す様な人か」
「違うわ、そもそもね」
「そもそも?」
「モーツァルトさんは破天荒な人だったから」 
 生活破綻者だったと言われている。
「お金が入ってもビリヤードで殆どする様な」
「貧乏じゃなかったのね」
「皇帝さんに気に入られていたのよ」 
 メグはエイミーにこのことを話した。
「大司教さんお抱えだった時もあるでしょ」
「そういえば」
「多作だったしね」
「その都度収入はあったのね」
「皇帝さんだと報酬は凄いし」
 欧州きっての大国であり名門ハプスブルク家となればだ、流石にその報酬は相当なものであることは言うまでもない。
「だからね」
「あの人お金はあったの」
「そう、けれどね」
「ビリヤードでなの」
「賭けてね」 
 そうしてというのだ。 
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