八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百五十八話 キャンプファイアーその一
第二百五十八話 キャンプファイアー
次第に暗くなってきた、それが文化祭の終わりがいよいよはじまっていることを僕にも教えてくれた。
その暗がりの中でキャンプファイアーがはじまると放送があった、僕は皆のダンスを観て楽しもうと思った。
だがそこに千歳さんが来て僕に尋ねてきた。
「踊られないんですか?」
「うん、相手がいないからね」
それでとだ、僕は千歳さんに笑って答えた。
「だからね」
「そうなんですね」
「千歳さんはどうかな」
「私は踊ります」
「そうなんだ」
「はい、同じ演劇部の子と」
「その子とだね」
踊るからには一目瞭然だった、そのことは。
「千歳さんは」
「付き合っています」
実際にとだ、千歳さんから答えてくれた。
「そうしています」
「そうなんだね」
「実は夏休みの時から」
「その時からなんだ」
「部活を一緒にやっているうちに仲良くなって」
そうしてというのだ。
「それで、なんです」
「結構早くからだね」
「そうでしょうか」
「うん、そう思ったよ」
八条荘の他の娘達が近頃どんどん相手の子が出来ているのと比べたらだ、千歳さんには言わなかったけれど。
「実際にね」
「そうですか」
「うん、じゃあ僕は千歳さんのダンスもね」
相手の子とのそれもだ。
「それもね」
「観てくれますか」
「そうしていいかな」
「はい」
千歳さんは僕ににこりと笑って答えてくれた。
「それじゃあ」
「そうしていいね、しかし長かった文化祭もね」
「終わりですね」
「楽しくて長かったけれど」
それがだ。
「遂に終わるんだね」
「そう思うと何か悲しいですね」
「それで寂しくなるよね」
「そうですよね」
「そうだよね、けれど何でも終わりがあるからね」
このことは絶対だ、この世にあるものは全て終わりがある。
「楽しいことも悲しいこともね」
「悲しいこともですね」
「そして嬉しいことも苦しいこともね」
「何でもですね」
「終わりがあるから」
それでというのだ。
「この文化祭もね」
「終わりですね」
「そうなるね、それでまた楽しいことがあるよ」
「文化祭が終わっても」
「そうなるよ」
「そうですね、じゃあ」
「次の楽しいことに向かおうね」
千歳さんに笑って話した。
「文化祭が終わったらハロウィンもあるし」
「その時もお祭りですか」
「そうだよ、校舎の中は平和でも」
それでもとだ。
「寮の方でやるんだ」
「学園の」
「そう、男子寮でも女子寮でもやって」
「外国の方の方でもですね」
「やるよ、もう全部の寮でね」
高等部だけじゃなくて大学でも中等部でも幼等部の方でもだ。
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