夢幻水滸伝
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第百二十二話 台湾沖でその六
「他の星のモンは一つになればな」
「南洋にも勝って」
「他の勢力にもですか」
「勝てる」
「そうですか」
「そうかもな。兵の数の劣勢を跳ね返して」
そうしてというのだ。
「勝ち残るかも知れんわ」
「その可能性は低くとも」
ロザリンデは炭酸を入れた桂花陳酒を飲みつつ言った。
「若しかするとですね」
「そういうことや、そして僕ちん達はな」
「その戦をですね」
「じっと見ていような」
「情報を何気なく流しながら」
「そうしていってな」
こう言ってだった。
「見守るで」
「こうして飲んだり食べたりしながら」
「ちゃんと政もしてな」
それぞれの勢力のというのだ。
「ええな」
「わかりました」
「ほなそういうことで」
二人も頷きそうしてだった、黄と共に戦の成り行きを見守っていた。彼等に出来ることをしながら。
南洋もまた移動要塞を持っている、その名を無何有郷という。
リーとシェリルはそこに四百万の軍勢と彼等の為の食料や兵器、軍属の者達、そして二十人の星の者達を乗り込ませシンガポールから出陣していた。
移動要塞は日本に向かって進んでいた、その中でリーはシェリルと共にいる棟梁の間でシェリルに語っていた。
「おそらく台湾東の沖で戦になる」
「日本とね」
「そうなる、この戦が初戦になるが」
「まずは日本に勝ってね」
そしてとだ、シェリルも言った。
「そのうえで」
「他の勢力とも戦う」
「そうしていく、日本は六十万の兵に四十人以上の星の者達がいる」
「強いわね」
シェリルはリーにはっきりと述べた。
「兵の数は少ないけれど」
「言われているな、獅子は鼠を倒すのにも全力を尽くす」
「その通りね、敵を侮れば」
「その時点で終わりだ」
まさにというのだ。
「相手を侮る者が敗れる」
「その通りね」
「日本は平城京で見たが」
勢力としてだけでなく星の者としてもだ。
「明らかにだ」
「強いわね」
「兵は装備がよくかなりの訓練を積んでいてな」
「規律もいいわね」
「だから強い、しかも星の者達の数がな」
「私達の倍以上、しかもね」
さらにとだ、リーはシェリルに話した。
「神星が三人いるわ」
「それだ、三人だ」
まさにというのだ。
「そのことが何よりも大きい」
「だからこの戦は」
「油断出来ない、敵の場所は正確に把握し」
「奇襲には気をつけて」
「兵の数で勝っていることは事実だ」
リーはこの利点も把握していた、そのうえでシェリルに話した。
「装備では劣るが」
「こちらは四百万、相手は六十万」
「圧倒している、この兵の数を活かしてだ」
「そのうえで戦うことね」
「敵の居場所を把握してな」
そうしてというのだ。
「正面から戦を挑み」
「兵の数で勝つつもりね」
「これだけの兵の差ならば」
リーはさらに言った。
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