夢幻水滸伝
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第百二十二話 台湾沖でその七
「奇襲、知略よりもだ」
「正攻法ね」
「こちらで戦う方がいい」
それでというのだ。
「少なくとも日本相手にはな」
「ではね」
「敵に正面から向かってだ」
「勝つな」
「そうしましょう」
二人で話してだ、そしてだった。
南洋の移動要塞はフィリピン上空に入りそこからさらに北北東に進んでいっていた、日本の琉球方面に向かっていた。その中で。
スーンは目の前の大空とそこに浮かぶ雲達を見つつロシティーに話した。
「さて、いよいよな」
「戦は近いけどな」
「何か日本がな」
スーンが話すのはこれから戦う相手のことだった。
「まずはこっちを避けてるな」
「そんな感じやな」
ロシティーもこう返した。
「どうも」
「そやな、けどな」
「あの連中が戦を避けるか」
それはとだ、ロシティーもまたおおぞらと雲を見つつスーンに返した。
「そうしてくるか」
「そんな筈ないな」
スーンもこう答えた。
「やっぱり」
「そや、連中はな」
「絶対にや」
「戦を仕掛けてくる」
「しかも相手からな」
「そうしてくるわ」
間違いなくというのだ。
「そうしてくるわ」
「そやからやな」
「ここはや」
まさにというのだ。
「日本は絶対に仕掛けてくるわ」
「それは間違いないな」
「というかですね」
二人と共にいるダーガーも話に入って言ってきた。
「戦を避けるなら」
「それやったらやな」
「もう最初から」
それこそとだ、ダーガーはスーンに応えて話した。
「覇権争いに参加せんな」
「そうしてます」
「それがや」
スーンはダーガーにさらに話した。
「何か僕等の動きを避けてる」
「その進路でぶつかることを」
「これはな」
「何か考えていますね」
日本はとだ、ダーガーはその目を鋭くさせて述べた。
「明らかに」
「そやな」
「はい、それでですが」
「何を仕掛けて来るかやな」
「まあ奇襲を仕掛けてくるのは間違いないわ」
ここでロシティーは自身の神具であるパガニーニのバイオリンを出した、そうしてそれの演奏をはじめた。
音楽はクラシックだ、モーツァルトの曲を奏でつつ言うのだった。
「奇襲にはな」
「周りにですね」
「それこそ音楽を聴くみたいにな」
ダーガーに言いつつ演奏を続けるのだった。
「繊細にや」
「見てですね」
「そしてや」
そのうえでというのだ。
「警戒することや」
「そうすればですね」
「相手がどんな奇襲で来てもな」
「戦えますね」
「絶対にな、しかし日本はな」
ロシティーはこうも言った。
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