八条学園騒動記
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第五百四十八話 姉妹の名前その八
「だからね」
「それでなのね」
「あの頑固さみたいよ」
「ハンニバルさんね」
「ローマとあくまで戦い続けた」
「偉大な人よね」
連合ではカルタゴが善でローマが悪とされている。
「確かに」
「確かな意志を持ってね」
連合ではハンニバルはそうした人物と言われている。
「そしてね」
「ローマと戦い続けた」
「確かに最後は負けたけれど」
連合ではこのことは悲劇とされている。
「それでもね」
「英雄だしね」
「確かな意志を持って」
「そのせいで」
ここでだ、強く言ったのはエイミーだった。
「私達の名前も決まったのね」
「そうね、ひいお祖父ちゃんは私の名前を付けた時点で」
長姉のメグが末っ子のエイミーに答えた。
「もうね」
「私の名前まで決めていたのね」
「絶対に四人出来ると確信して」
そしてというのだ。
「名付けたみたいよ」
「ある意味凄い人ね」
「そうよね」
「兄さんにはそういうのなかったのね」
ベスは自分達の兄の話もした。
「そういうことは」
「そうみたいよ」
メグはベスにも答えた。
「これといってね」
「そうなのね」
「兄さんの名前はサイだけれど」
メグは実際に兄の名前を話に出した。
「プロ野球選手の名前らしいわ」
「そうだったの」
「サイ=ヤングっていうね」
「どんな人だったの?」
「人類ではじめて五百勝した人よ」
「ピッチャーだったの」
「ひいお祖父さんその人が好きらしくて」
歴史上のこの人物をというのだ。
「それでね」
「その名前にしたの」
「そうみたいよ」
「確かにあまり考えてないわね」
ベスから聞いてもだった、自分達の果たして四人全員つけられるかわからない名前よりも遥かにというのだ。
「それだと」
「凄い人の名前だけれどね」
「兄さんが言うには」
その彼の言葉もだ、メグは話した。
「書きやすくていいそうよ」
「ああ、サイってね」
「もうアルファベットでもすぐで」
「漢字でもね」
この場合は当て字の色彩が強くなる。
「才でね」
「私達は結構苦労してるわよ」
ジョーはこう言ってきた。
「ジョーって嬢でね」
「字はいいけれど」
それでもというのだ。
「書くのは大変よ」
「そうよね、私もね」
メグも自分の名前のことを話した、漢字でのそれを。
「愛だから」
「書くの結構大変よね」
「どうもね」
「私は」
ベスも言ってきた。
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